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工水管でアイスピグ 横浜市水道局、初の実管路での施工 マイクリップに追加

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  • 注入前のアイスシャーベット
  • 注入側のデリバリーユニット
  • 回収側のアクリル管

 横浜市水道局は9月29日、JR横浜駅近くの工業用水管でアイスピグ管内洗浄工法による洗管を行った。アイスピグによる実管路の洗浄は水道局として初の試み。対象は35年前に布設されたφ300mmのダクタイル鋳鉄管190mで、管内に堆積した夾雑物等の除去を図ったもの。アイスピグでの洗浄は約45分間、その後のフラッシングを含めても90分程度で完了した。

 横浜市の工業用水道は、北東部の京浜工業地帯などに水を供給する相模湖系統と、南部の戸塚内陸工業地帯や南東部の根岸湾臨海工業地帯を供給先とする馬入川系統の二つに分かれている。今回洗浄したのは相模湖系統の末端付近の配水管で、事前の調査により伏越し部などでの夾雑物の堆積が確認されていた。

 アイスピグ管内洗浄工法では、水と塩から作られる特殊アイスシャーベットを管内に注入してアイスピグを形成し、夾雑物を取り込みながら内面を洗浄する。水質面のリスクがない上、形状が変化するため口径変化や曲がり部・伏越し部に追従し、閉塞の恐れもない。

 洗浄作業の受注者はアイスピグ関東地域協会に所属する関東ヒノデサービス販売。アイスピグを形成する6.6㎥の特殊アイスシャーベットは東亜グラウト工業の浦安技術センターで用意し、2.2㎥ずつ3台のデリバリーユニットで運搬した。

 現場では、対象区間前後の仕切弁を閉じた上で、空気弁から特殊アイスシャーベットを注入。管内で長さ約90mのアイスピグを形成した後、上流側の仕切弁を開いて秒速20mほどの水で押し流した。ドレン吐出口を利用した回収口にはアクリル管を接続し、視察に訪れた約30人の局職員らが赤茶色に汚れたアイスピグを確認した。

 横浜市水道局では、水道・工業用水道のいずれも、基本的には洗管排水で管内洗浄を行っている。アイスピグ等による洗管は、デモ施工の実績はあるが、実際に運用されている管路での施工は今回が初めて。

 特に昭和30~40年代の創設期に整備された工業用水管では夾雑物の堆積が明らかになっており、今後も新たな手法での洗管を検討していく。

 工事を担当した水道局工業用水課の職員は、「効率的な洗浄方法で施工が早かった」と話している。


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