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短時間で一定の効果 東京都水道局、初のアイスピグ洗浄 マイクリップに追加

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  • 効果を目視で確認
  • 注入・排出には消火栓を活用
  • 濁ったサンプリング

 東京都水道局は、千代田区内の配水小管φ250mm×258mを対象に、アイスピグ管内洗浄工法による洗管を初めて実施した。目的は昭和62年に布設された管内の清掃。オフィス街での工事となることもあり、水質リスクや施工時間などに考慮して同工法を採用したところ、周辺影響を抑えつつ一定の効果が確認できたという。

 対象となったのは昭和62年の布設から30年以上が経過したダクタイル鉄管。現場は神保町駅からほど近い商業地であり、更新工事を行うとなれば周囲に大きな影響が生じる。そこで同局は、効果的かつ安全、短時間で施工可能な洗浄工法を検討することとした。

 水道の使用状況や交通影響を踏まえると施工は夜間に限定される上、利用可能な既存設備は消火栓のみだった。

 さらに対象管がφ250mm×258mと比較的大口径・長距離であることから、管内の洗浄効果、そして水質面の影響を踏まえ、アイスピグ工法を採用することとした。施工は管清工業が受注した。

 アイスピグ工法で管内に入るのは水と塩で作られる特殊アイスシャーベットのみであり、閉塞や水質に影響を及ぼす恐れがない。管内で形成されたアイスピグは、内壁を洗浄するとともに夾雑物や堆積物がある場合はこれらを取り込んで進んでいくため、通常の消火栓による排水洗浄では難しい管底に溜まった砂などの除去も期待できる。

 今回の洗浄作業では、消火栓から6.6tのアイスシャーベットを注入して長さ135mのアイスピグを形成。上流側からの送水で258mを押し流し、下流側の消火栓で回収した。注入時・送水時とも予定値の0.7MPa以上に管内圧力が上がることはなく、押し流しも常に目標流量の毎秒20ℓ前後を測定。アイスピグの安定した推進が確認された。

 排出されたアイスシャーベットのサンプリングには茶色い濁りや砂が含まれており、洗浄前後に実施した管内カメラ調査でも効果が見て取れた。なお、事前に23時半から翌5時までの断水を広報していたが、注入から排出までは約35分間、準備や洗管後のフラッシング等を含めても十分な余裕をもって作業は終了。利用者への影響を最小限に抑えた。

 工事を担当した同局中央支所配水課職員の話 材料の安全性が高い上、施工を短時間で終えることができた。目視とカメラ調査をした結果によると、一定の効果が確認できたと考えている。


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