日本水道新聞 電子版

2021年426日 (月) 版 PDF版で読む 別の日付を表示
2021年426日 (月) 版 別の日付を表示 PDF版で読む

シールコート片を一掃 福井県初、敦賀市でアイスピグ洗浄 マイクリップに追加

  • 画像
  • 画像
  • 画像
  • 配水池内に注入口を設置
  • 回収口のアクリル管で効果を確認
  • 排出されたシャーベット。白い剥片が見て取れる

 敦賀市上水道課は3月26日、配水管内面から剥離したシールコート片の除去を目的に、福井県内で初となるアイスピグ管内洗浄工法による洗管を実施した。対象は昭和60年代に布設されたモルタルライニングのダクタイル鋳鉄管800m。回収したアイスシャーベットからは大量の白い剥片が確認され、剥がれかけたシールコートへの洗浄効果があったとみられる。

 今回の洗浄対象となったみどりヶ丘低区配水池から伸びる配水本管は、内面にモルタルライニングとシールコートが塗装されているダクタイル鋳鉄管。その後の製品では改善されているが、昭和60年代当時のシールコートは経年劣化によって剥離し、メーターなどの目詰まりを引き起こすことがある。

 同課は従前から洗管排水による管内洗浄を地元管工事組合に委託し、予防保全型の管路の維持管理を図ってきた。しかし、みどりヶ丘低区の給水区域末端では、シールコート片が原因とみられるメーター詰まりが年に数回ほど発生する状況が続いていた。

 こうした悩みを西日本豪雨の際の支援活動で親交を深めた伊賀市上下水道部に相談したところ、同市が採用しているアイスピグ管内洗浄工法を紹介された。そこで、布設年度などからシールコートの劣化が疑われる配水池からの本管について、同工法による洗浄を行うこととした。

 アイスピグ工法では、特殊アイスシャーベットを管内に注入してピグを形成し、夾雑物を取り込みながら内面を洗浄する。注入量を調整することで長距離の洗浄に対応できる上、形状が変化するため口径変化や曲がり部・伏越し部にも問題なく追従し、閉塞の恐れもない。

 今回の施工では、注入口には場内配管のフランジを利用できたが、基本的に給水分岐がない区間のため付帯設備がほとんどなく、排出口には800m先のφ75mm排泥口を使うことになった。口径は配水池出口のみφ150mm、残りはφ200mmで、一部は橋梁添架管となっていた。

 委託業務は敦賀市管工事協同組合が受注し、東亜グラウト工業が協力して作業を行った。施工では、1台で2.2㎥の特殊アイスシャーベットを搭載するデリバリーユニットを3台使用し、約6600ℓを管内に注入して長さ210mのピグを形成。消火栓から毎秒12~14mほどを送水して押し流すと、回収口からは白いシールコート片と茶色い濁りを含んだシャーベットが排出された。なお、別系統からの融通によって洗浄に伴う断水は発生せず、フラッシングを完了した約3時間後には通常運用に復帰した。

 【敦賀市上水道課・高木栄治課長補佐の話】 剥がれかかっていたものだと思うが、驚くほどのシールコート片が出てきた。今回は抑え気味の流速でフラッシングを行ったので、次回からは施工時間をもっと短縮できると考えている。下流部にも同年代に布設した管があるため、今回の効果を見極めた上で洗浄を検討していきたい。


この記事を見た人はこんな記事も見ています

産業の過去記事一覧

×
ようこそ、ゲストさん。
新規会員登録 ログイン 日本水道新聞 電子版について