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事業統合軸に検討へ 上田長野地域、広域化に向け論点整理 マイクリップに追加

長野県企業局からWeb会議

 長野県企業局と3市1町(長野市、上田市、千曲市、坂城町)は8月27日、Web会議形式で第2回上田長野地域水道事業広域化研究会(座長=小林透長野県公営企業管理者)を開催した。

 今会合では広域化・広域連携に向けた論点について協議し、他形態の選択肢も視野に入れた上で事業統合を軸に検討を進める方針を示したほか、住民への広報および議会説明の時期や方法などについて共有した。

 7月末に開いた第1回会合では、「水道事業広域化・広域連携に係る基礎資料作成業務」の内容等について報告・共有された。この業務は上田長野地域の広域化等の推進に当たって、事業運営や組織体制の視点から最適な広域化等の形態に関する検討を委託するもの。主な内容として、事業統合を含む広域化等の形態を複数設定し、それぞれの財政面、組織面等への影響を整理するとともに、設定した形態で財政シミュレーションを実施し、形態の比較を作成することなどとしている。

 第2回会合では8月上旬に契約を締結したNJSも参加し、現時点での検討状況等が説明された。同社は厚生労働省が公表した上田長野地域における水道施設の最適配置の検討結果を前提として、広域化形態を整理・比較するとともに、他地域の広域化事例を例示した。

 広域化の形態については、事業統合、経営の一体化、用水供給事業の新設、施設の共同化(個別経営)等を想定し、これらの形態から同地域の実情に合った形態を選定していく。

 形態を整理するに当たっての検討事項は、▽運営する水道事業の数と管理者の配置▽広域化・広域連携による水道料金の設定▽事業(旧事業)間の浄水融通の方法▽広域化・広域連携による施設整備計画の進め方や施設整備の財政負担▽申請可能な交付金メニュー▽人材確保の方法や人員配置▽国内の広域化・広域連携事例▽その他想定される課題――などに整理した。

 同社によると、広域化の形態の中でも、事業統合は都道府県が主体となる広域化の類似例や広域化に伴う国の交付金措置等があるため、現時点で他の形態と比べて実現性が高いとした。

 今後、施設最適配置計画の精査、交付金対象事業の整理、投資費用の精査、広域化形態ごとの財政シミュレーション等を中心に検討した上で、10月上旬頃をめどに広域化形態の方針を決定していく。

 これらの報告を受けて上平敏久長野市上下水道事業管理者は、広域化に向けておおよその形態を絞っていく必要性を述べ、同社の説明の中で交付金の活用、他地域の事例等から事業統合による広域化の実現性が高いとされたことを踏まえ「事業統合という方向性で進めていってはどうか」と提案。小林座長は、この提案に対し反対意見等は現時点でなかったため、「事業統合を研究会の一つの大きなテーマとしたい。議論の方向性を一定方向定めて、深掘りを進めていければ」などと、他の選択肢も視野に入れつつ、事業統合を軸に議論を進めていくこととした。

 住民への広報および議会説明などについては、広域化の方向性(案)中間取りまとめを行った後、令和3年度中に順次実施していく。実施方法は、それぞれの市町内における住民説明会のほか、意見募集や広報資料・特設HPなどでの広報、議会等での説明を進める予定。

 今後は10月頃に予定している第3回会合で中間取りまとめを示し、3月をめどに方向性の報告(案)を取りまとめる方針。また、9月中旬には首長らが参加予定の同地域における浄水場の施設見学を実施し、相互理解を深めていく。


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