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施設内外を3Dモデル化 フソウらサービス提供開始 マイクリップに追加

2021/09/16 産業 製品・技術

内部はスキャナ 外部はドローンで

 フソウとブルーイノベーション(本社=東京・文京区)は、上下水道施設の内部・外部を3Dモデル化するサービスのトライアル提供を開始した。

 3Dスキャナとドローンを使ってありのままの3次元モデルを構築し、活用方策を含めて提案する。施設現況の可視化を設計・施工業務や関係者間のコミュニケーションにつなげていくとともに、都市デジタルツインの実現によるまちづくりのDXも見据える。

 両社が提供する3Dモデル化サービスは、目視可能な施設の内外を点群(莫大な数の点の集合体)としてデータ化し、ありのままにデジタルで再現するもの。フソウはこれまでもBIM/CIMや点群データの利活用に積極的に取り組んできたが、屋外を含めて、より大規模な3Dモデルの作成が可能になる。

 施設内部のスキャニングには、360度全天球にレーザーを発信し、反射を受信することで空間を把握する3Dスキャナを使う。外部については、ドローンでさまざまな方向から撮影し、複数の画像を解析・統合して3DCGを作成する「フォトグラメトリ」を活用する。いずれもデータ取得に当たって施設側に特段の準備は必要ない。

 3Dモデルとして可視化することで、関係者は距離と時間を超えて、齟齬なく施設の現状を共有できる。これにより合意形成プロセスの迅速化・省力化、保守運用記録の一元化など、幅広い業務の遠隔化・効率化・高度化が期待される。

 当面の活用方策としては、設計・施工時に図面などと比較することでの「ずれ」のチェックや、多様なデータを3Dモデルの中で一元管理し、そこでの気付きを現場への指示に生かすことなどが考えられる。ブルーイノベーションはドローンやロボットによるソリューションを手掛けているため、将来的には同社の統合プラットフォームを利用したドローン自動制御による無人点検も視野に入れる。

 上下水道施設の3Dモデルを3D都市モデルに組み込むことで、都市デジタルツインの実現も近付く。3D都市モデルは実世界(フィジカル空間)の都市を仮想世界(サイバー空間)に再現した3次元の地理空間データで、多様なデータを結び付けるための基盤になると考えられている。これをベースに、さまざまな都市インフラに設置したセンサーからの取得情報などを重ね合わせ、実在する都市と対になる〝双子〟(ツイン)をバーチャル空間上に再現するのが「都市デジタルツイン」の概念となる。

 ◇   ◇

 フソウは昨年3月にSBIインベストメントとCVCファンドを共同設立し、ファンドを通じて同年秋にブルーイノベーションに出資、業務提携を結んでいた。両社は3Dモデル化サービスの提供開始に当たり「上下水道以外のインフラ施設への展開も視野にサービス開発を加速するとともに、持続可能で強靱な都市づくりに寄与する3D都市モデル整備に向けて積極的に取り組んでいく」としている。


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