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海底送水管現場を公開 笠岡市、約4.6km海底部更新 マイクリップに追加

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  • 近隣事業体が視察に参加
  • 布設台船
  • 陸上部配管(小飛島)

 笠岡市上下水道部は3月29日、「海底送水管(北木島~小飛島間)布設替工事」(工事期間=令和3年9月6日~5年3月31日)の施工現場視察を実施し、近隣10事業体の職員らが参加した。

 参加者たちは、自動埋設機が海底送水管を布設している様子を別の小型船舶に分乗して見学したほか、北木島・小飛島に上陸し、陸上部の配管を視察した。自動埋設機による海底部の送水管埋設工程は1週間程度で完了するため、貴重な機会となった。

 同市では、市南部の瀬戸内海に大小約20の島からなる笠岡諸島のうち、有人7島へ送水・給水を実施する笠岡諸島簡易水道事業に昭和50年に着手、57年に離島への上水道布設事業が完成した(送水開始とともに簡易水道事業は順次水道事業に統合)。本島南端の神島外浦地区の上水道を水源として利用し、飛び石状に位置する各島を連結した7本の海底送水管(鋼管φ250mm、ポリエチレン管φ75~150mm)によって送水し、各島に整備した配水池から給水している。同市の海底送水管の総延長は約18kmと、上天草市に次いで全国2番目に長い。

 今回の工事は、送水管のうち北木島と小飛島をつなぐ約4.6kmの区間の海底送水管および小飛島・北木島の陸上部配管の更新を行うもの。受注者はフソウ、協力会社は三井金属エンジニアリングと沿海開発工業で、請負額は6億7089万円。

 新管に採用した三井金属エンジニアリングの鋼管がい装ポリエチレン管(φ100、全長4738m)は、水が流れる導管(高密度PE管)をSUSテープや波付鋼管で補強し、最外装には軟質ポリエチレンを被覆して海水(塩害)からの腐食対策を施した複合管。継ぎ目なしの1本物で、三井金属エンジニアリング大分工場で製造した海底送水管を布設台船に搭載したドラムで巻き取り、現場まで運搬してきた。

 海域部の布設区間は①自動埋設工区(3085m)②グラブ浚渫工区(990m)③潜水士掘削工区(517m)に分類され、①では自動埋設機がウォータージェットで海底の土砂等を撹拌、流動化した状態で海底送水管を埋設深度1.0mに布設後、埋め戻しを行う。②では、岩盤層や礫層、硬い粘土層など①による埋設が困難な箇所において、グラブバケットによって土砂を掘削する。③では、水深が浅く船舶航行や既設物による影響がある範囲において、ダイバーが掘削・埋設作業を行う。

 今年3月上旬から海域部工事をスタートし、小飛島から北木島に向かって①~③の順で送水管布設を実施しており、6月末をめどに完了予定。視察当日は①の自動布設を施工中で、フソウの担当者によると約500mの日進量で順調に施工できているという。

 自動埋設は、布設台船から送水管を自動埋設機に巻き取り、海底に着地した自動埋設機が布設台船の曳航に合わせて自動でアンカー位置から送水管を決められた位置に埋設していく仕組み。台船は前後にアンカーを下ろして、前アンカーを巻き、後アンカーを伸ばすことによって前進する。現場の海上では布設台船のほかに自航揚錨船、曳船なども配置されていた。

 同市によると、海底送水管の完成から40年以上が経過する中で平成3年から現在まで20回以上の漏水が発生しており、その都度補修工事を行っていた。30年には1年間に5回の漏水を記録したという。同市は、令和元年に海底送水管の更新計画を立案。財政支援に係る国への要望活動を経て、3年度予算案に盛り込まれた「海底送水管更新等に伴う財政支援の拡充及び創設」の交付金制度を活用し、3年7月に厚生労働省から採択を受け、同年9月から工事契約を行っていた。


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