同じ経営哲学のもとで 冨洋設計がNJSグループに マイクリップに追加
NJSは、冨洋設計(本社=東京・墨田区)のNJSグループへの参加を明らかにした。6月30日付で同社の一部株式を取得し、議決権の50%超を保有する形になったが、経営体制については従前の状況を維持する。NJSとしては水道分野の強化や農業土木分野への進出を図る狙い。両社には板倉誠氏が社長を務めたという共通点があり、価値観や社風に通じる部分があるという。
NJSの資本金5億2000万円、売上高193億円(2021年12月期連結)に対し、冨洋設計はそれぞれ4500万円、9.9億円(21年5月期)。冨洋設計は上下水道のほか農業用水路・排水路といった農業土木分野でも多くの調査設計を手掛けている。
今後は協業により、インフラ老朽化・災害激化・脱炭素社会への移行といった事業環境の変化への対応を加速させる。冨洋設計はNJSから技術・人材・資金面の支援を受けるとともに、同社のソフトウェアやドローン、オペレーション事業などを活用して事業領域を拡大させる。NJSはこれらの普及拡大にも経営効果を見込む。
記者会見でNJSの村上雅亮代表取締役社長は、1972年に創業した冨洋設計の初代社長である板倉氏が51年のNJS(当時は日本上下水道設計)設立にも深く携わり、63年からは社長を務めていたことを紹介。「板倉誠の技術と経営哲学のもとに育った兄弟会社という言い方もできるかと思う」「考え方の根底に共通のものがあり、同じような社風、気風を持っていると感じる」などと両社の親和性について話した。具体的な共通点については、板倉氏の「経営哲学の中心に〝人を育てる〟ことを置き、それが仕事の喜びであり面白さだとする考え方」を挙げた。
冨洋設計の武部茂代表取締役社長は、今年2月25日の創業50周年をきっかけにNJSとの協議を始め、「業界が大きく変化する過渡期にある中、今後のコンサルタントのあり方に関する(考えの)深さや広さ、将来に向けた捉え方に賛同した」ことで一部株式の譲渡を決めたと説明。NJSグループとして人材面や技術力を向上させることで「新しい形でのサービスを展開できる」と話した。