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2022年818日 (木) 版

現場最前線で技術習得 極東技工コンサルタント、浄水場更新工事を視察 マイクリップに追加

パネル溶接の様子を見学

 極東技工コンサルタント(村岡基社長)は京丹後市より「中野浄水場更新工事施工監理業務」を受注し、同浄水場の施工監理を担っている。6月14日には社員の設計提案力の向上に向けて現場見学会を開き、技術職を中心に同社社員約20人が参加。今回、浄水池(土木池状構造物)築造工事で採用した「ステンレス内張工法」の組立状況等を視察、施工者による創意工夫に直接触れ、技術の研鑽を深めた。

 京丹後市中野浄水場は、二級河川竹野川表流水を水源とする同市最大の基幹浄水場(施設能力=6379㎥/日)で、凝集沈澱+急速ろ過+活性炭ろ過による浄水処理を行い市内に供給している。同浄水場は昭和42年に竣工し、これまで部分的な修繕や増改築を繰り返してきたが、供用開始から約50年が経過し、施設の劣化が顕著となり更新期を迎えていた。

 そこで、老朽改善および耐震化を目的に浄水場全面更新工事に着手。平成28年に実施設計を行い翌29年から施工を開始、令和5年度末までの工期で段階的な施工を実施している。同社は浄水処理施設をはじめ管理棟や配管等も含めたすべての設計を担当したほか、工事に伴う施工監理業務も担っている。

 浄水を貯留する浄水池(容量=1080㎥)は、半地下式の構造として地下部を鉄筋コンクリート造(RC造)にステンレス内張工法を施し、地上部はステンレス製パネルタンクを採用した。浄水池RC造部の内面を防食塗装に代わり薄板のステンレス鋼板でライニングすることで、防食塗装の再塗装が不要となり、浄水池の塗膜防水工と比較して維持管理性・衛生性が大きく改善されることが特徴。見学会では、浄水池の内部においてパネル溶接の模様を視察した。

 ステンレス内張工法における通常のパネル溶接方法では、コンクリートを削孔し、アンカーを打ち込んだのちステンレスパネルを溶接するが、この現場では、アンカー部分を隣のパネルと重ねて溶接することで、アンカー部分からの漏水を防ぐといった創意工夫がなされている。同社社員は、施工状況はもとより内張工法の維持管理手法についても興味を示し、現場最前線を通じて技術の習得に努めた。なお、浄水池築造工事は令和4年度内の完成予定。

 同社の畠山義生設計部長は「狭小な用地内での浄水場全面更新工事という特徴的な現場で、スクラップ・ビルドを繰り返す難しい工事のため、工程調整や段階的な切替えが重要となる。市とわれわれが綿密にコミュニケーションを重ねてきたことでようやく浄水池築造工事まで漕ぎつけることができた。若い社員にも、最新の施工方法等について理解を深めてもらえれば」と期待した。同社では顧客に対し高度な品質と施工方法の提案ができるよう、資格取得指導や現場見学会など社員教育を積極的に進めている。


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