第2期UV-ACE発足 紫外線導入検討を支援、調査研究でボトルネック解消へ マイクリップに追加
水道技術研究センターは12日、紫外線処理設備の導入促進・普及を目的とする「第2期UV-ACE」プロジェクトを発足させた。令和元年5月のクリプト対策指針改正を踏まえ、UV設備導入に係る検討や手続きを支援するような成果物の作成を目指す。活動としては、導入済・未導入の事業体を対象としたアンケートやヒアリング、手続きに関する手引きの作成、導入のケーススタディなどを想定する。期間は令和5年度末までの1年半。
UV-ACE(=紫外線水処理技術適用拡大プロジェクト)は、厚生労働省がクリプトスポリジウム等対策指針を改正した翌月の令和元年6月に立ち上がり、約2年の調査研究を経て「水道における紫外線処理設備導入及び維持管理の手引き」を取りまとめた。
今回の第2期は「指針改正によって紫外線処理という選択肢が増えたにもかかわらず、クリプト対策が思うように進んでいない」という課題認識から発足したもの。今後はその理由を調査等で明らかにするとともに、UV設備を導入する際のネックの一つと考えられる事業認可変更・交付申請などの流れを整理した手引きの作成、実際の対策未対応施設をモデルとしたケーススタディなどを行いたい考え。具体的な活動や成果物は参加者の協議で決定する。
12日には発足式と併せて第1回委員会が開かれ、神子直之委員長(立命館大学教授)らのあいさつの後、活動方針について議論した。企業幹事はスタンレー電気の岩崎達行氏と東芝インフラシステムズの牧瀬竜太郎氏が務めることになった。
その他のプロジェクト参加メンバーは次の通り。大瀧雅寛(お茶の水女子大学)▽小熊久美子(東京大学)▽ウォーターテック▽水道機工▽千代田工販▽月島機械▽西原環境▽フソウ▽メタウォーター▽厚生労働省(オブザーバー)
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クリプト対策指針では、原水で指標菌が検出されたことのある施設のうち、原水が地表水の施設を「レベル4」、地表水以外の施設を「レベル3」に位置付けた上で、レベル4施設では「ろ過池出口の濁度を0.1度以下に維持できるろ過設備」または「ろ過設備後段のUV設備」の整備を対策として示している。レベル3施設でもレベル4施設と同様の対応、またはUV設備の整備が必要となる。
しかし令和3年3月末時点では、4285のレベル4施設のうち428施設(約10%)、3757のレベル3施設のうち1837施設(約49%)は「対策を検討中」としている(厚労省調べ)。これらの割合は前年度と大きく変わらず、対策が進んでいないことが見て取れる。