最新知見に興味津々 POLITEC 講演会、大阪で180人が聴講 マイクリップに追加
配水用ポリエチレンパイプシステム協会(POLITEC)は2月14日、3年ぶりの再開となる第10回水道講演会を大阪市で開いた。およそ180人が最新知見に耳を傾けた。
冒頭、白澤洋・同協会アドバイザーは、「(講演会は)水道配水用ポリエチレン(HPPE)管のPRを通じて、水道界に役立つ情報を提供しようと始めたもの」と講演会の意義を説明し、丹保憲仁北海道大学元総長の著書を配布。「講演会と同様の趣旨で丹保先生の講演会一日TAMBOの3回目をこの大阪で行う予定だったが、コロナ禍のため中止を余儀なくされた。今回の講演会と併せ、皆さまの業務に役立ててほしい」などと述べた。
最初の講演は山下涼・厚生労働省医薬・生活衛生局水道課課長補佐で、テーマは「水道事業の基盤強化」。激甚化する自然災害によって被害が増え、老朽化の進行や耐震化の遅れ、計画的な更新のための備えが不足していることなどさまざまな課題に対応するために行われた水道法の改正について紹介。なかでも水道の基盤強化の鍵となる適切な資産管理の推進について時間を割き、丁寧な解説を行った。
「水道事業の現状と課題」を演題として長谷部貴之・総務省自治財政局公営企業経営室(水道・工業用水道事業係)総務事務官は、「経営計画の策定・改定」「抜本的な改革の推進」「公営企業の見える化」の三本の柱に基づき公営企業における経営計画の推進を進めていく、と同省の姿勢を述べ、広域化に関する事業にかかる地方財政措置や高料金対策の激変緩和措置などについても言及した。
「東大阪市における管網再構築および建設コスト縮減の取組」で東大阪市上下水道局水道施設部水道整備室計画推進課の山口智功主査は、同市の概要について触れた後、水道の基盤強化のために必要な管路更新のペースアップや投資の平準化、更新財源や体制の確保などに加え、より効率的な管路更新を進めるなどの施策の中で令和4年度からHPPE管の採用に踏み切った経緯を解説。「強靱性や経済性はもとより、施工性の効果による地元事業者の増加も期待している」と述べた。
橋場毅之・日本水道協会工務部技術課技術専門監は「水道施設耐震工法指針・解説の改訂」の演題で、これまでの地震の被害のデータをはじめ、昨年6月に発刊した2022年版指針の改訂に至るまでの経緯と2009年版との考え方の違い、要求性能の定義や危機耐性の導入などのポイントなどについて述べた。「指針の活用が本質的な施設の長寿命化につながると考えている」などと今後の展開を期待した。
塩浜裕一・POLITEC技術委員長は「水道配水用ポリエチレン管に関する最新動向の報告」で、2022年度版の手引き改訂に合わせた第2次耐震評価委の設置と水道配水用ポリエチレン管の耐震設計手引きの改訂作業、さらにスクイズオフ工法や推奨工具認定制度など、水道事業体の維持管理に役立つ取組みを紹介した。
