大賞に北九州市の上下水道国際展開 第25回日本水大賞 マイクリップに追加
日本水大賞委員会(名誉総裁=秋篠宮皇嗣殿下、委員長=毛利衛日本科学未来館名誉館長)は3月31日、水循環健全化への社会的貢献度が高い優れた諸活動を広く顕彰する第25回「日本水大賞」の受賞者を決定・公表した。
水道関係では、北九州市上下水道局によるアジア諸都市での国際技術協力が大賞に輝いたほか、富良野高校・富川高校・北海道立総合研究機構・白石航希氏による地域自律管理型水道の維持管理支援が厚生労働大臣賞、東亜グラウト工業による「水循環に思いをはせる日(11月8日)」の記念日登録が経済産業大臣賞を受賞した。表彰式は6月13日に東京・江東区の日本科学未来館で執り行う。
北九州市上下水道局では、高度経済成長期の公害を市民・企業・行政一体で克服する過程で培った技術やノウハウをもとに、上下水道分野で30年以上にわたって技術協力を展開してきた。
カンボジア・プノンペン市での「水道人材育成プロジェクト」(1999~2006年)では、職員を専門家として派遣。短期間で水道普及率等を劇的に改善させた取組みは「プノンペンの奇跡」と呼ばれ、アジアで数少ない「飲める水道水」の実現に寄与した。その後も継続的な支援活動を展開し、カンボジア国内の地方水道の改善等に貢献している。このほかミャンマーでは、マンダレー市で浄水場運転管理能力の向上事業(2013~2016年)として塩素生成設備を供与。現在も浄水場の運転維持管理指導事業に取り組んでいる。ベトナム・ハイフォン市では、市独自の高度浄水処理技術「上向流式生物接触ろ過」を展開。ベトナム国内はもとより東南アジア全域への普及を目指している。
富良野高校・富川高校・北海道立総合研究機構・白石航希氏の取組みでは、地域の水道利用組合が運営する「地域自律管理型水道」に対して地元の高校生が水質分析や管路図のデジタル化などを行うことで運営改善に役立つデータ等を提供するとともに、水インフラの持続性向上や地域活性化、次世代の担い手育成を地域自らの手で同時に実現することを目指している。富良野市内では富良野高校科学部の生徒が地域自律管理型水道18カ所のうち17カ所で水質簡易分析を行ったほか、15カ所で施設情報のデジタル化が完了予定となっており、その成果物は各水道利用組合や市上下水道課で日常の維持管理に活用されている。日高町では富川高校と体制づくりを進め、町内に7カ所ある地域自律管理型水道のうち3カ所で水質分析と管路図のGIS化が完了している。
東亜グラウト工業は、全国各地で豪雨や台風、地震などの大規模自然災害が頻発する中、「あって当たり前」との認識が根強い水インフラの重要性を知ってもらうためのきっかけづくりとして「水循環に思いをはせる日」の登録を日本記念日協会に対して申請し、認定を受けた。日付(11月8日)の由来は11(いい)、8(パイプ)。算用数字の8を上下に並んだ2本の水道・下水道管に見立てるとともに、横(∞=無限)にして水の循環をイメージしている。