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進む技術研究、発信へ WSP・総会、耐震指針改訂に対応 マイクリップに追加

2023/05/22 産業 業界団体

 日本水道鋼管協会(WSP)は19日に定時総会を開き)、令和4年度の事業報告・決算、令和5年度の事業計画・予算などを決議した。日本水道協会による「水道施設耐震工法指針・解説」の改訂を受けて、昨年度の水管橋関連に続き、今年度は配水池に関する技術資料(基準・指針類)を改正する。ユーザーの需要に応えるべく、鋼管の寿命予測に関する研究や水管橋点検マニュアルの制定作業などにも取り組んでいく。

 水輸送用塗覆装鋼管を所管する大口径部門の昨年度の活動としては、耐震工法指針の改訂内容を踏まえ、水管橋関連の技術資料を改正。WSP007「水管橋設計基準」、同064「水管橋設計基準(耐震設計編)」、同007追補「水管橋設計基準(計算例)」の3編を発刊した。耐震工法指針については、会員を対象に、鋼管・水管橋・鋼製配水池に関する改訂内容の説明会も開催した。

 50年計画で進めている「埋設鋼管・暴露水管橋経年変化調査」については、コロナの影響で延期していた25年目調査を27年目調査として実施した。あわせて学識者や事業体職員向けの現場見学会を開き、多くの参加者を集めた。調査結果は今年度の水道研究発表会での論文発表を予定しているという。

 また、愛知県企業庁・東京都水道局と個々に協定等を締結し、埋設鋼管の劣化に関する共同調査・研究を開始した。供用中の埋設鋼管における外面塗覆装の状況を調査し、残存耐用年数の推定や補修方法の検討などに取り組む。

 これらの調査等で得たデータを寿命(耐用年数)予測の手法確立や精度向上に活用していくため、11月には「水道鋼管塗覆装寿命研究委員会」を設置した。委員長には東京大学生産技術研究所の工藤一秋教授が就任した。

 対外な活動としては、管路の設計・施工担当者などを対象とした鋼管技術セミナーを7月から16事業体で、参集形式での「WSP講演会」を9月に東京と広島で、塗装方法施工管理者講習会を11月に東京と大阪でそれぞれ開催した。また、10月の名古屋水道展と工業用水道事業研究大会にブースを出展し、鋼管や鋼製品をPRした。

 今年度は、前年に続き調査研究やセミナー・講演会の開催、PR活動などに取り組むほか、耐震工法指針の改訂と整合を図るべく「ステンレス鋼製角形配水池設計指針」(WSP073)など関連する技術資料を改正する。また、厚生労働省の「水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドライン」が今年3月に改訂されたことを受け、その内容を具体化する「水管橋点検・評価マニュアル」(仮称)の制定に着手する。

 あいさつした四方淳夫会長(JFEエンジニアリング代表取締役副社長)は、昨年度は事業活動が「徐々に従来の形式に戻ってきた」とし、今年度も需要喚起に向けた情報提供やPR活動を積極的に展開していく考えを述べた。また、事業体などとの共同研究や大規模な実験は「協会だからこそできるもの」であり、「鋼管・鋼製品のプロ集団として、需要家の期待に応え、信頼を確実なものにしていきたい」と抱負を述べた。

 ◇   ◇

 総会終了後には表彰式が開かれ、長期にわたり協会事業に貢献した個人に功労賞が贈られた。対象は▽野村優(JFEエンジニアリング)▽髙橋裕之(フソウ)▽川田武広(日鉄パイプライン&エンジニアリング)――の3氏。


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