効果生かし課題に挑戦 東洋大学大学院 公民連携専攻、PPPでオープン講義 マイクリップに追加
東洋大学大手町サテライトで7月20日、東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻によるオープン講義「先進自治体 PPP/PFIを語る―上下水道とPPP/PFI―」が行われた。同専攻は日本唯一のPPP/PFI専門の社会人大学院で、修士号の取得を目指して数多くの社会人が履修している。
今回のオープン講義は町田裕彦客員教授が担当する「PPP制度手法論」の講義の一環で、大阪市・浜松市・日本下水道事業団がそれぞれの取組みを紹介。履修生16人のほか42人がオンラインで聴講した。
冒頭であいさつした町田教授は「実際の事業に着手されている現場の生の声を聞き、知見を広めてほしい」などと期待を述べた上で、上下水道に関わるPPP/PFIの概要を紹介した。
大阪市水道局からは総務部連携推進課の吉澤源太郎PFI事業調整担当課長代理が登壇。大阪市の工業用水道事業では、浄水場と管路の維持管理・更新を中心としたユニークなコンセッションを実施している。吉澤氏は収益基盤・費用構造・運営体制の三つの分野で「サステナビリティ戦略」を実践し、事業の持続可能な仕組みとして「大阪工水モデル」の確立を目指す方針と、そのための工夫を紹介。現状での効果として、収益性やユーザーの利便性の向上などを挙げた。
浜松市の鈴木克巳下水道施設課長は、2018年4月に下水道コンセッションの運営を開始するまでの経緯と、この5年間の取組みや効果、課題などを報告。行政のスリム化や運営権対価の獲得などの効果が得られたとする一方で、事業が長期にわたるため、課題として市職員のモニタリングに係る技術力の確保や継承の必要性に言及した。
日本下水道事業団経営企画部の山田敏史経営企画課長兼研修センター長は、さまざまな包括的民間委託の現況と課題、今後の展開などを分析。管路の包括委託の支援を強化するために日本下水道新技術機構と締結したパートナーシップ協定などに触れ、これからPPP/PFIに取り組んでいく地方公共団体に対する導入や立ち上げの支援体制について説明した。
パネルディスカッションでは、多様な経験を有する3人が現況や今後の展望、これから取り組みたいと考えている地方公共団体へのアドバイスなどを展開。併せて活発な意見交換が行われた。