官民から24題の発表 日水協中部地方支部、多彩な知見を共有 マイクリップに追加
日本水道協会中部地方支部(支部長=河村たかし名古屋市長)は8月24、25日の2日間、蒲郡市の蒲郡商工会議所コンベンションホールで第48回研究発表会を開き、施設・管路更新や防災、DX等に関する官民合わせて24件の論文発表があった。
冒頭、開催地・蒲郡市の鈴木寿明市長が「昨今、豪雨災害が頻発しているが、本市においても6月2日に線状降水帯豪雨により大きな被害が生じた。一方、本格的な人口減少の影響が強まってきている。今回の発表事例を共有することで、水道界の一層のレベルアップにつながれば」とあいさつ。
名古屋市上下水道局の川合正恭計画部長が河村支部長に代わりあいさつ。「5月に能登半島で震度6強を記録する地震が発生し、また台風7号をはじめとして、6月以降、中部地方支部では毎月のように豪雨災害が発生している。普段から防災意識を高く持つとともに、発災時の事業体間の連携強化が重要と改めて認識しており、本地方支部としても引き続き防災事業に力を入れていきたい」と話した。
愛知県企業庁西三河水道事務所豊田浄水場の小林洋一氏が「薬注更新4件設計者が語る 施設更新工事のポイント5選」と題し発表。薬注システム更新工事の設計では、前例踏襲ではなく、前回の工事からの技術進歩の考慮や原水水質・水量の変化を考慮する必要があること、図面を現場に持参し巡視時を考慮して確認すること、多くの現場経験を有する技術者・職人から積極的に話を聞くことが有効であること、施設更新は改良のチャンスであること等に言及した。
大成機工の杉本翔太氏は「水管橋における漏水補修金具」と題し発表。横浜市水道局と共同開発したもので、ピンホール程度の小規模漏水補修に特化したもの。鋼管のφ300~700の各サイズに対応でき、口径ごとに製品を備蓄する必要がない。最大径のφ700でも重量は13.5kgで、人力のみで運搬が可能。橋梁にかかる荷重も小さい。取り付けは10分程度で完了する。製品はステンレス製。
そのほかの発表は次の通り。
▽災害時等における上下水道事業体支援の取組み(名古屋上下水道総合サービス)▽青山浄水場における土木施設整備の取組み(新潟市水道局)▽鉛管実験プラントを用いた間欠通水条件下における水道水の鉛溶出試験(同)▽無塗裝PCタンクにおけるひび割れ対策実施事例(安部日鋼工業)▽尾張東部浄水場におけるろ過池躯体の耐震補強工法の紹介(愛知県企業庁)▽犬山幹線における漏水事例紹介(同)▽Uroglenaの増殖・減少に係る因子の検討(同)▽水源ダム低水位期間中における浄水工程管理と金属分析による相関関係調査(静岡県大井川広域水道企業団)▽トリハロメタン生成予測式の運用の検討(長岡市水道局)▽水道管路の効率的な総合評価システム(クボタ)▽配水管における採用管種の検討(一宮市上下水道部)▽極性反転型避雷針の導入(同)▽既設水道管のAI劣化診断およびその管理(同)▽耐震型サドル付分水栓を用いた給水管に生じる地震時ひずみに関する一考察(日邦バルブ)▽水道配水用ポリエチレン管スクイズオフ工法の改良に関する報告―補強用メカニカル継手の導入検討―(配水用ポリエチレンパイプシステム協会)▽IoTを活用した遠隔監視システムによる漏水対応の迅速化(フジテコム)▽水道管凍結事故防止の取組み(豊田市上下水道局)▽定期借地契約の中途解約時におけるリスク回避策(名古屋市上下水道局)▽水道メータ満期取替業務におけるDXの推進(同)▽大治浄水場の耐水化事業(同)▽測量標等に係る保全業務の現状と課題(同)▽オンラインを活用した「水源地探検隊」の実施(同)


