耐震設計手引きを改定 POLITEC、耐震評価検討委で承認 マイクリップに追加
配水用ポリエチレンパイプシステム協会(POLITEC)は15日、第3回「水道配水用ポリエチレン管の耐震性評価検討委員会」(委員長=清野純史京都大学名誉教授)を浜松市内で開き、一昨年11月から2年以上にわたり審議してきた「水道配水用ポリエチレン管の耐震設計の手引き」の最終改定案が承認された。
新たな知見として▽3.0%の許容ひずみでもレベル2(L2)地震動に対して弾性状態を保持し性能を維持・確保できること▽常時荷重に対する新たな設計法・計算事例▽地盤変位に対する新たな設計法・計算事例――を盛り込む。発刊後にはポイントを解説する講演会を開催予定。
実験・論文から三つの新知見
改定により、許容ひずみ(照査用限界ひずみ)は、各種実験結果と既往知見を踏まえ、L1・L2地震動の両方で3.0%と定めており、両方の地震動に対して異形管等を含んだ青ポリ管が弾性状態を保持し、日本水道協会の水道施設耐震工法指針における限界状態1「管材に軽微な変形等が生じても地震後に継続的に使用できる状態」を確保することを示した。
常時荷重による発生ひずみでは、内圧と温度変化に関しては地中埋設実験結果を踏まえるとともに、地盤による管体拘束力を考慮した青ポリ管の発生ひずみの算定手法に関する発表論文に基づき、実験結果と整合する新たな設計条件と算定式を採用。計算例も収録した。不同沈下や自動車荷重についても同様に、設計条件を検討して見直している。
地盤変位においては、大きな変位が発生した際には管と地盤の境界にすべりが発生する可能性が高く、その場合は異形管や給水分岐部等の付属設備(突起部)に大きな地盤反力が作用するとみられる。しかし、現時点ではこのメカニズムに未解明な部分が多く、地盤反力の定量的な評価が困難であることから、評価対象を融着継手を含む青ポリ管の直管部とした。
要求性能は「管体に軽微な塑性変形が生じても漏水することなく地震後も通水できる状態を確保」するものとし、許容ひずみは突起部への地盤反力作用を考慮して、降伏ひずみより低い値とする6.0%と定めた。既往の論文と実験結果に基づく、管軸方向および管軸直角(鉛直・水平)方向での具体的な新たな設計法と計算事例も明記している。
また、耐震設計資料や耐震計算事例集を収録した資料編を充実させ、本編の計算例でも具体的な数値を示すなど、より分かりやすい手引きとした。算定式の考え方、過去の地震による青ポリ管の挙動などの「一口メモ」の充実も図っている。
あいさつした清野委員長は「皆さまに熱心な議論をいただき、照査用限界ひずみ、常時荷重、地盤変位に関する3点の新たな知見が盛り込まれるに至ったことに感謝申し上げる」と謝意を表した。
