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2024年118日 (木) 版

天地人と宮城県に大臣賞 第7回インフラメンテナンス大賞 マイクリップに追加

 厚生労働省ら8省は16日、社会資本のメンテナンスに係る取組みや技術開発を表彰する「第7回インフラメンテナンス大賞」の受賞者を発表した。水道関係では、天地人が「衛星データを活用した漏水リスク評価管理業務システム」で厚労大臣賞を、アイセイが「インフラマネジメントテクノロジーコンテスト」で厚労省の特別賞を受賞。また、宮城県企業局が「宮城県上工下水一体官民連携運営事業の導入」で国土交通大臣賞に選ばれた。

 インフラメンテナンス大賞では、取組みや技術の対象施設に応じた「分野」ごとに担当省庁が分かれている。厚労省は水道のほか医療・福祉など計5分野を担当しているが、今回の表彰は水道分野の2件のみとなった。

 大臣賞を受賞した天地人(本社=東京・中央区)の「天地人コンパス 宇宙水道局」は、同社のGISプラットフォームをベースとしたクラウドシステム。衛星が観測したビッグデータと、管路情報・漏水履歴・オープンデータなどのさまざまな情報とをAIで解析し、約100m四方のエリアごとに漏水リスクを評価する。

 天地人は2019年に設立されたJAXA(宇宙航空研究開発機構)認定の宇宙ベンチャー企業。衛星データを使った土地評価コンサルティングやサービスの開発・運用を手掛けている。

 特別賞に選出されたインフラマネジメントテクノロジーコンテスト(インフラテクコン)は、インフラが抱える課題を解決するための技術やアイデアを高等専門学校生が競うイベント。国や土木学会、日本技術士会などから後援を、大手ゼネコンやパスコ、フソウなどから協賛を受けている。実行委員会の事務局は構造物の点検・調査を主な事業とするアイセイ(東京・荒川区)内に置かれている。

 4回目の開催となった今年度のインフラテクコンには全国の29チームが参加した。昨年12月に最終審査結果が発表され、水道関係では旭川高専のチームが提案した上下水道管の紙図面をデジタル変換するシステム「AtoD for 上下水道3Dプラットフォーム」が準グランプリ相当の「アントレプレナー賞」を受賞している。

 ◇   ◇

 宮城県企業局のコンセッション方式を活用した水道用水供給・工業用水道・流域下水道の3事業に係る一体的な施設運営、いわゆる「みやぎ型管理運営方式」は、下水道分野の取組みとして国交大臣賞を受賞した。長期的なインフラの安定性・技術革新・持続性の確保に道筋をつけた点などが評価されたとみられる。

目を引く新技術

 計44件の受賞案件の中には、農業用水や河川など広い意味での水インフラや、社会インフラ全般に関わる取組みも見られた。

 農林水産大臣賞には、三重県内を流れる農業用水路・立梅用水(松阪市~多気町)におけるスマート化の取組みが選ばれた。農水省の実証事業を契機にカメラ監視やゲート操作の遠隔化を進め、計器等の情報を一元管理するウェブツールも開発・実装したという。

 新設の内閣総理大臣賞にはガス分野(経済産業省が担当)の技術が選出された。受賞者は大阪ガスネットワークで、レーザー分光式検知器を搭載した自動車・自転車で道路埋設管の漏洩検査を行うというもの。さらに走行ルートの作成、検査中のルート案内、事後の報告図面作成といった一連の作業を自動化するナビゲーションシステムも開発した。

 そのほか、日之出水道機器がダクタイル鋳鉄製グレーチング(=側溝の蓋)の開発で防衛大臣賞に選ばれた。自衛隊施設では蓋と枠をボルトで連結するタイプのグレーチングが使われてきたが、同社の「GR-U」は蓋枠一体構造になっており、ナットの緩みによる破損や航空機のエンジンの異物吸い込みを未然に防げるという。


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