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統合浄水場が完成 燕・弥彦事務組合 マイクリップに追加

竣工祝しテープカット

県内最大規模の膜ろ過、機能集約によりコスト削減

 新潟県内最大規模の膜ろ過浄水場となる「燕市・弥彦村統合浄水場」が完成し、燕市・弥彦村への供用を開始した。事業費は約178億円で、送配水管整備事業費を含めた総事業費は約235億円。処理能力は1日当たり最大4万2500㎥で約8万2000人の給水人口を想定している。23日には竣工式が行われ、鈴木力燕市長ら関係者約100人が出席した。

 燕市と弥彦村は「燕・弥彦地域定住自立圏共生ビジョン」に基づき市町の枠を超えた広域的な取組みを進めてきた。両市町の水道において、施設の老朽化と水需要の減少という共通の課題があったため、浄水場の共同整備を行うこととし、広域化について協議。平成31年4月1日から燕・弥彦総合事務組合で水道事業の経営を開始している。

 50年以上前に建設された燕市内の道金浄水場、吉田浄水場、分水浄水場と弥彦村の弥彦浄水場は、老朽化が進んでおり、現行の耐震基準における耐震性能を満たしていない可能性があった。また、給水人口の減少等の影響により、従来の4浄水場における最大稼働率はいずれも50~70%台となっており水需要に対して施設能力が過大であった。吉田・分水の浄水場と弥彦浄水場は同じ西川から取水しているという共通点があり、共同整備により、建設コストの削減および機能集約を図った。

 新設の統合浄水場では、長寿命のセラミック製の膜ろ過装置を採用。機械の数値設定にによる自動運転が可能で、クリプトスポリジウム等の原虫類の除去も可能。また、2系統受電により停電時の浄水機能損失リスクを低減し、浸水リスクに対応するため、ハザードマップの想定浸水レベル以上に浄水場敷地を造成。さらに、1階出入り口には止水板を設置し、中央監視室を3階、電気室は4階に配置。地震や水害等のさまざまな災害に強い施設となっており、将来の人口減少等さまざまな環境変化への柔軟な対応を目指すとしている。

 23日の竣工式では、鈴木市長から統合浄水場整備の関係者へ感謝状が贈られ、月島JFEアクアソリューションの阿部吉郎副社長、JFEエンジニアリングの堤裕新潟支店長、水倉組の水倉直人代表取締役、NJSの戸田博之執行役員東京総合事務所長が登壇した。国定勇人国土交通大臣政務官ら多くの来賓も駆け付けた。

 続いて、竣工を記念してテープカットを実施。テープカットと同時に応急給水栓から給水車への給水も行われた。式典後には浄水場内の施設見学会が催され、出席者は膜ろ過装置や前処理施設・除マンガン施設などを見学した。


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