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災害支援備え技術習得 都水・TW受講、HPPE管で講習会 マイクリップに追加

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  • 生曲げ加工体験
  • スクイズ工法実演

 東京都水道局は4月16、17日の2日間、同局および東京水道株式会社(TW)の東京水道グループ職員を対象とした水道配水用ポリエチレン管の技術講習会を同局研修・開発センターで開催。配水用ポリエチレンパイプシステム協会(POLITEC)協力のもと、水道配水用ポリエチレン管(HPPE管)の特徴等について、座学と屋外での実演を通じて学んだ。

 昨年1月に発生した「令和6年能登半島地震」では、特に能登半島北部において管路施設に大きな被害があり、広域的に断水した。被災地での応急復旧支援活動において、東京水道グループは、輪島市の中部・東部の給水区域を担当した。うち、国道の海岸線沿いのねぶた温泉までの配水ルートにおいて、早期復旧の観点から、東京都水道局と輪島市上下水道局とが協議し、HPPE管による地上仮設配管(φ200mm)を約1.2kmにわたって布設した。

 同局ではHPPE管を採用していないことから、POLITECでは都内の工事事業者向けの「災害対応向け緊急施工講習会」を7回開催し、114人が参加して施工技術の習得に努めた。

 こうした経緯を踏まえ、同局では、従来は災害発生時にその都度使用材料を決定していたが、この3月に震災発生時の仮配管に限定してHPPE管も使用できることとした。今回の講習会は、震災等の発生に備えて、必要となるHPPE管の技術や知見を東京水道グループ職員が学習・体験することを目的に開催したもの。

 講習会開催に際し、POLITECの半田盛久事務局長があいさつ。POLITECは、パイプメーカーのみならずバルブメーカーや工具メーカーなどのさまざまな分野の企業が所属しておりパイプシステムを包括した団体であること、日本水道協会の検査実績(延長ベース)におけるφ200mm以下のシェアが令和5年度からトップになっていること等を紹介した。

 座学では、HPPE管がPE100という高耐久性の素材でつくられていること、EF接合により一体管路を形成すること、直管の重量がφ150mmでも約40kgと軽量であること等を紹介した。

 HPPE管は軽量で、直管のみで曲げ配管を行うことができるのが大きな特徴で、地上で長尺管を接合してから掘削溝内に配置する「陸継ぎ配管」が可能なほか、急傾斜地での人力施工が可能といった施工性の高さがメリットとなっている。座学ではHPPE管の耐震性能を示す事例として、地震による断層変位や津波による洗掘によっても管路が破断せず供用を継続したケース等が紹介された。

 実技講習では、EF接合やメカニカル継手、漏水補修金具の施工、既設管を任意の箇所で止水できる「スクイズオフ工法」等の実演が行われ、職員も施工を体験。

 最後に、参加者一同でφ75mmの長尺管を生曲げ加工(φ75mmの最小曲げ半径R=7.0m)し、HPPE管の柔軟性等を体感した。


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