3件の採択技術を発表 静岡県、現場で実証実験実施 マイクリップに追加
静岡県企業局は10月31日、静岡市内で「静岡県ウォーターイノベーション共創支援事業」における事業プラン発表会を現地およびオンラインで開催。県内水道事業体の担当者を中心に約80人が参加した。同局では、所管する水道・工業用水9事業の課題解決を目指し、企業からの課題解決に関する提案を今年6~8月に募集していた。この日の発表会は、選考を経て採択された3件の技術提案者が、来年2月まで実施する実証実験の概要や計画等を発表するもの。同局では、事業成果の県内の事業体への展開も見据え、事業を進めている。
冒頭、栁川典之局長が「このたびの取組みは、県が所管する水道用水事業と工業用水道事業の課題解決を目指すもの。両事業では、技術者の高年齢化と人材不足が懸念される中、さらに施設の老朽化、物価・賃金の上昇等に伴うコストの上昇、人口減少に伴う水需要の減少など、大きな課題をたくさん抱えている。両事業の経営環境が厳しさを増す中、コストの削減や業務の効率化に向けて、民間の創意工夫や最新技術の積極的な活用が必要と考え、当局初の取組みとして課題解決に関する公募を行ったところ、民間の皆さま14者から16件のご提案をいただいたことに感謝申し上げる」とあいさつし、今回の技術が同局の事業のコスト削減や事業の効率化につながることに期待を寄せた。
今年度の募集テーマは、「水道管の保守」「機械・電気設備の保守」「職員業務の効率化」の三つ。
うち、水道管の保守では、アクアインテック、管清工業、フソウの3社による「反転更生工法及びポリライナーU工法による管更生事業」が発表された。
このうち「ポリライナーU工法」は、工場でU字形に折りたたまれた高密度ポリエチレン(PE100)製の更生材をウィンチで既設管内に引き込み、蒸気で加熱・成型することで円形に復元し、既設管内に新たな管を形成する工法。実証実験は、工業用水管の実現場でのパイロット施工を予定している。
小口径管向けのポリライナーU工法に加えて、中大口径の反転更生工法も開発中で反転ホースに熱硬化性樹脂を含浸させた更生材を用いる。これを反転機で既設管内に反転挿入し、空気圧をかけて拡径。その後、蒸気で加熱・硬化させ、既設管内に新たな管を形成する工法。実証実験は、地上の模擬伏越配管(呼び径300、45度曲管×4カ所)にて実施する予定。
機械・電気設備の保守では、M2Xが「現場にとけ込む設備保全アプリ」を発表。アプリ「M2X」は、設備保全に関するオールインワンアプリ。実証実験では、「点検実行・保全計画策定」「トラブル記録の作成・蓄積」「設備・予備品管理」について、帳票の作成・集計時間、構造化データの記録数、情報の検索時間といったKPIに基づき検証を行う。
職員業務の効率化では、アドックインターナショナルが「アタッチメント型AIoTカメラ設置による遠隔検針システム」を発表。実証実験では、企業局が指定する工業用水メーター約10台に遠隔検針端末を設置し、遠隔検針システムの有効性を検証するとともに、検針・点検業務の効率化とデータ活用の可能性も検証する。

