日本水道新聞 電子版

2026年46日 (月) 版 PDF版で読む 別の日付を表示
2026年46日 (月) 版 別の日付を表示 PDF版で読む

耐震適合性 今夏に報告書案 国交省検討会、管路関係団体に意見聴取 マイクリップに追加

2026/04/06 総合 国土交通省

 国土交通省水道事業課は、水道管路の管種・継手ごとの耐震適合性の評価に着手した。3月27日に「管路の耐震化に関する検討会」の令和7年度初会合を開き、能登半島地震での被害状況を中心に業界団体へのヒアリングを行った。重要施設に接続する導・送・配水管が備えるべき耐震性能を確保できるよう、その技術的基準などを検討し、今夏に報告書案をまとめる。座長には、滝沢智東京都立大学都市環境学部都市基盤環境学科特任教授が就いた。

 【関連記事:耐震適合性の再評価着手 国交省

 国交省では能登半島地震での教訓を踏まえ、重要施設(避難所、災害拠点病院等)に接続する水道管路の耐震化を後押ししている。現在は、基幹管路でレベル2地震動、配水支管でレベル1地震動に対応することが「水道施設の技術的基準を定める省令」で義務付けられており、配水支管のうち重要施設に接続するものについては今年10月に施行される改正省令によって基幹管路と同様の耐震性能が求められる。

 同検討会では、平成18年度に管種・継手ごとの耐震適合性を評価し、東日本大震災を受けて平成25年度に管路の被害状況の分析結果を整理してきた。今回は、能登半島地震での被害率および被災経験を分析し、管路・継手ごとの耐震適合性を改めて評価することを目的としている。

 事務局の分析では、能登地域の7市町(七尾市、輪島市、珠洲市、内灘町、穴水町、能登町、志賀町)を対象とした管路の被害状況の詳細が示された。令和6年度に「上下水道地震対策検討委員会」が算定した管種別被害率は、震度や地盤状況が考慮されていないため▽震度データ等を含めた分析▽より詳細な地盤データを用いた分析――を実施。震度分布で異なる2パターン(震度によらない、震度6強および7)の管種・継手別の被災延長・被害箇所数のデータを250メートルメッシュの表層地盤の微地形分類に基づき算出した。

 硬質塩化ビニル管(RRロング継手)の使用状況に関するヒアリング結果も共有。7市町のマッピングデータや被害箇所データにおいて、RR継手とRRロング継手は分類されていなかったとした。このほか、過去の主要な地震発生時に被災区域に布設されていた管種・継手別延長を平成18年度検討会時と平成18年度検討会以降で比較した結果も示した。

 業界団体へのヒアリングでは▽日本ダクタイル鉄管協会▽日本水道鋼管協会▽配水用ポリエチレンパイプシステム協会▽塩化ビニル管・継手協会――が出席。各団体で実施した能登半島地震における管路被害の調査結果や見解に対し、専門的知見から質疑が行われた。

 日本ダクタイル鉄管協会は、能登半島地震で確認された耐震継手ダクタイル鉄管の被害は地盤崩壊等に伴う局地的な地盤変状によって設計条件を超える外力が作用したことに起因すると説明。青森県東方沖地震などでは、伸縮屈曲、離脱防止等の耐震性能を十分に発揮しているとした。また、一般継手ダクタイル鉄管(K形等)の被害については、新たな地盤判定方法を用いた国交省の詳細分析結果を受け、従来法での分析結果と比較・評価することが必要だとした。その上で、K形等の耐震適合性が低いと判断された場合は異論なしとする考えを示した。

 また▽新技術の積極的な推進▽市民や水道事業体への適切な情報提供▽水道施設の技術的基準を定める省令が求める耐震性能の確保▽耐震性能を確保するための技術的な検証――などの重要性を指摘。これらを進めるに当たり、管路被害が出た箇所の原因究明や被害が出ていない被災管の継続使用、耐久性等を含めた耐震性能について、同検討会における同一視点での客観的な分析と評価が必要だとした。

 日本水道鋼管協会は、七尾市、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町で地震被害が埋設管で13件、水管橋で61件あったが、溶接継手の被害は確認されなかったと説明。昭和50年代以前に布設された鋼管700A以下に関しては、現場外面溶接部が不完全溶け込み溶接の可能性があるとして、耐震性確保のために優先的な調査・更新が必要だとした。

 配水用ポリエチレンパイプシステム協会は、HPPE管について、レベル2地震動を観測した地点を含めて地震動による被害はなく、液状化による被害も報告されていないとした。地盤変状による破損被害は珠洲市若山町地区で複数発生。一部の事故品を入手し、被災直後に著しい地盤隆起があったことを確認できたとした上で、その他の箇所についても地盤変位の状況把握など調査を継続するとした。

 塩化ビニル管・継手協会は、RRロング管について、被害を十分に確認できなかったものの、理論上高い耐震性を誇ると説明。特長である経済性や復旧の迅速性を考慮し、中小規模事業体における管路の耐震化に向けた選択肢としての検討を望んだ。

 同検討会は今夏に第2回、第3回会合を実施する。第2回会合では、水道事業者へのヒアリング、管種・継手ごとの耐震適合性の評価を行い、第3回会合で「管路の耐震化に関する検討会報告書(案)」を取りまとめる。

 委員等(初会合開催時点)の構成は次の通り。

 【座長】滝沢智東京都立大学都市環境学部都市基盤環境学科特任教授

 【構成員】伊賀正師神戸市水道局西部水道管理事務所所長▽伊藤雅喜芝浦工業大学工学部非常勤講師▽打越聡日本水道工業団体連合会技術情報委員会委員長▽鍬田泰子神戸大学教授▽島村幸一熊本市上下水道局首席審議員兼水道維持課長▽庄司学筑波大学システム情報系教授▽関根光雄全国簡易水道協議会技術嘱託▽長岡裕東京都市大学名誉教授▽深山明博七尾市役所建設部上下水道課課長▽本荘谷勇一日本水道協会工務部長▽松田信夫水道技術研究センター常務理事▽宮島昌克金沢大学名誉教授

 【オブザーバー】山野一弥日本ダクタイル鉄管協会関西支部長▽薮口貴啓日本水道鋼管協会設計・施工委員長▽塩浜裕一配水用ポリエチレンパイプシステム協会技術委員長▽鈴木謙次郎塩化ビニル管・継手協会専務理事


この記事を見た人はこんな記事も見ています

総合の過去記事一覧

×
ようこそ、ゲストさん。
新規会員登録 ログイン 日本水道新聞 電子版について