課題解決へ知見共有 JWRC九州・中四国研、倉敷で研究会を開催 マイクリップに追加
水道技術研究センターは、第47回九州・中四国ブロック研究会(JWRC研究会)を倉敷市内で開催。7月23日に水道技術者支援研究会、24日にJWRC地域水道講習会を実施し、80人超が参加した。
主催者あいさつで松田信夫常務理事は、センターの目的を説明した上で「水道界の動向や技術的な話などを研究会の中で発信し、皆さまと共有していきたい」と述べ、多様な研究発表を通じた活発な意見交換に期待を寄せた。
開催都市を代表して倉敷市の尾崎英樹水道事業管理者は、今年が同市の水道通水110周年に当たることに触れ、「先人が築き上げた長年の努力の成果により今日の安全で安定した水の供給がある」と感謝を示し、「さらに愛され信頼される水道を次の世代に引き継いでいかなければならない」と決意を述べた。
水道技術者支援研究会では、▽NJS▽建設設備用ポリエチレンパイプシステム研究会▽芦森工業▽荏原実業テクノロジーズ――が登壇した。
NJSの森本恭史氏は「能登半島地震の被害を踏まえた危機耐性について~水道施設の被害状況を踏まえた知見の整理~」と題し、能登半島地震の水道被害を過去の地震被害と比較しながら復旧期間の長期化を考察。危機耐性について、想定を超える災害で安全性が損なわれた場合にも、水道施設が危機的状況に至る可能性を小さくする性能と説明した。危機耐性として対応すべき知見を整理した上で、人命への影響や飲料水供給の停止、長期断水などに至る可能性を最小限とするため、被災シナリオを想定する必要性を示した。
建設設備用ポリエチレンパイプシステム研究会の鈴木剛史氏は「給水装置引込み部の地震被害調査結果と耐震性評価について~回転機構を有するサドル付分水栓の性能検証~」と題して講演。給水装置引込み部の耐震性を土槽実験で検証し、既存の配管システムでは分水継手部に曲げ応力が集中し、給水管の変形や継手損傷の原因となることを確認した。また、給水管の抜け事故を防ぐため、継手に離脱防止性能を持たせる必要性を示した。
芦森工業の石関宏真氏は「管路更生工法における要求性能項目と分岐部の施工方法について「―ガイドライン化(AーJUMP事業)と新技術導入―」と題して講演。管路更生工法の規格化を進め、老朽化対策と耐震化促進への貢献を目指す考えを示した。また、分岐処理工の施工事例を紹介し、分岐部の空間、工期、工事費の課題解消が、老朽管路の更新・耐震・長寿命化の促進につながるとした。
荏原実業テクノロジーズの金井正博氏は「遠隔監視が可能な水質の多項目同時モニタリングシステムについて~システムの概要と国内外での導入事例~」と題して講演。複数の水質項目を一つのシステムに集約して測定・遠隔監視でき、水質計器の維持管理作業の簡略化・共通化に貢献すると説明。国内浄水場の取水監視や海外のダム、湖沼での導入事例を紹介した。
翌日のJWRC地域水道講習会では、▽「水道行政の動向」国土交通省水道事業課・関広和専門官▽「水銀フリーの紫外線光源による浄水処理」岡山大学・橋口亜由未准教授▽「平成30年7月豪雨災害を経験して」倉敷市水道局・岩知道訓裕副参事――が官学の視点から発表を行った。