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官民が技術事例2題講演 日水協広島県支部、隣接浄水場も見学 マイクリップに追加

川本局長

 日本水道協会広島県支部は10月6日、廿日市市のはつかいち市民大野図書館で令和2年度技術講習会を開き、産官が2題を講演した。15事業体から約30人が参加した。

 冒頭、地元を代表して廿日市市水道局の川本秀春局長が「当初、世界文化遺産の厳島神社がある宮島に渡り、景観に配慮した水道施設を見学いただく予定であったが、コロナ禍を受け、会場のすぐ近くにある浄水場をご覧いただくこととなった。今後も他事業体の皆さまと情報共有等連携を図っていきたい」と開演あいさつ。

 続いて、建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会(PWA)の峯川操技術委員は「給水装置の耐震化対策」について講演。

 峯川委員は、高密度ポリエチレン管(青ポリ管)に関し、配水管のみならず一次側給水管についても東日本大震災以降、採用事業体数が伸びてきていることを紹介。給水工事技術振興財団が7年ぶりに改定し、今年4月に発刊した「給水装置工事技術指針」において青ポリ給水管の配管例や施工手順が記載された。二次側の建築配管での評価も高まっており、例えば、平成29年度の「東京都渋谷合同庁舎(仮称)改築工事における施工性に優れた給水配管に関する技術」に選定されている。

 過去の地震では給水引き込み部の被害が多いことを踏まえ、PWAでは給水部会(正会員=積水化学工業、日邦バルブ、タブチ、光明製作所)を設置し、検討の結果、分水EFサドルまたは大きな回転機構を有する金属製サドルからなる「地震後も継続使用が可能な給水装置引込み部」について8月に公表している。

 廿日市市水道局の平松敦工務課課長補佐兼計画係長とベルテクノの河村春彦執行役員水道事業設計部部長は「ステンレス製配水池の特長および施工例」と題し、大元配水池整備工事の事例を紹介した。

 同配水池(1600㎥)がある宮島には、世界文化遺産の厳島神社があり、文化財保護法をはじめとするさまざまな法令の制約を受ける。離島であり急勾配箇所もあるため、資材の運搬にはフェリーパージやモノレールを使う必要があった。これら条件に対し、ステンレス製配水池は、資材が軽量であり運搬が容易、工場で資材を製作するため天候等に左右されず工期も短縮できる等の特長があり、今回の現場では非常に有効だったという。

大野浄水場を見学

 既設のPC製配水池の運用を停止し、県用水の受水管を配水管に直結した後は、県の協力を得ながら約1年間、水運用に気を付けながら工事を行った。配水池は、景観に配慮して外面を茶系に塗装している。

 講演後、同局の大野浄水場(計画浄水量=6100㎥/日)を見学。同浄水場は、老朽化した緩速ろ過施設に代わるものとして建設。井戸・伏流水を原水とし、大型セラミック膜エレメントにより浄水。水質計器・ヒメダカによる水質自動監視装置を備え、全自動運転が可能で、停電に備え、非常用自家発電機設備も備えている。

 閉講あいさつで同局の川岡敏久次長兼工務課長は「本日の講演内容が皆さまの今後の課題解決につながれば」と期待を寄せた。


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