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2021年1129日 (月) 版

インフラをより強く、効率的に 建設技術展近畿 大阪で開催 マイクリップに追加

2021/11/29 産業 製品・技術

 10月27、28の両日、公共施設の建設に関する新技術・新工法の展示会「建設技術展2021近畿」がインテックス大阪で開かれた(主催=日刊建設工業新聞社、近畿建設協会)。施工をはじめ維持・更新、防災、IT・ICTなどのゾーンが設けられ、企業・団体が174のブースを出展。上下水道関係の企業・団体も多数参加し、水分野に限らず、社会インフラに貢献する幅広い技術を披露した。水管橋点検に利用できるドローンの展示もあった。

施工性の高い消火配管PR 栗本鐵工所

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  • 消火配管用ダクタイル鉄管
  • FRP検査路
  • 点検口付き遮音板

 栗本鐵工所は、日本ヴィクトリックと共同開発した「トンネル内消火配管用ダクタイル鉄管」を出展。延長の長いトンネルには消火栓を一定間隔で設置する必要があり、側面などで露出配管が行われる。栗本鐵工所の製品はこの消火配管に用いるもので、ハウジング方式の継手(ヴィクトリックジョイントNCー2型)の採用により施工性に優れ、配管・更新・修繕を容易に実施可能。ハウジングの形状やそれと密着する管の凸部の形成方法などに工夫を凝らし、離脱防止性能・止水機能の向上も図った。

 最高使用水圧は2.0MPaで、下水道や工業用水道などの用途にも対応する。呼び径は150~350の5サイズをラインナップし、45度・90度の曲管やT字管なども用意した。直管の内面塗装はモルタルライニングとエポキシ樹脂粉体から選択できる。

 同社からは鉄管事業部だけでなく、化成品事業部が「FRP検査路」を、建材事業部が「点検口付き金属製遮音板」をそれぞれ出展。点検のために橋桁や橋脚に取り付けるFRP検査路は、高い耐久性と軽量性、独自構造による組み立てやすさを実現した。高速道路などに設置する金属製遮音板は、内側(道路側)に点検口を設けることで、従来は外側に回り込まなければならなかったアンカーボルトの点検を行いやすくした。

鉄蓋の技術を鋳鉄品に応用 日之出水道機器

橋梁用伸縮装置

 日之出水道機器は、橋梁用伸縮装置「ヒノダクタイルジョイントα」やグレーチング「GRシリーズ」など、マンホール蓋領域で培ってきた技術を応用した各種製品を出展した。

 気温変化に伴うコンクリートの変形等を吸収するため、橋桁の間などには伸縮装置が設置されるが、その破損は上部通行車両のパンクやスリップ、騒音、漏水による橋梁本体の劣化につながる。ヒノダクタイルジョイントαの開発に当たっては、日之出水道機器のダクタイル鋳鉄に関する設計・製造力、マンホール蓋を応用した「すべり抵抗性模様」などの技術を活用し、伸縮装置に求められる耐久性・水密性・走行安全性・維持管理性の四つの性能を追求。製品試験においてはマンホール蓋で蓄積した技術検証力が生きた。

 道路脇の側溝や集水桝などに使われるグレーチング(蓋)でも、スリップやがたつきの防止、製造・試験などの技術を応用したGRシリーズを展開している。中でも「GRーU」は、蓋と枠を一体化させ、あえて蓋が開かないようにすることでがたつきが起こらない画期的な構造。近年の高圧洗浄技術の向上を踏まえて開発したという。

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  • スワエール協会のブース
  • 東亜グラウト工業のブース

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 スワエール協会は、池状構造物の内面防食などに用いる「スワエールスプレーシステム」をPRした。ポリウレア樹脂をスプレーで吹き付けて生成する被膜は、よく伸びるためクラックへの追従性が高い。水道施設などの上水用途ではこの20年で1000件ほどの実績があるが、耐久性に優れるため施工後の改修は少ないという。

 ◇   ◇

 東亜グラウト工業は、落石事故を防止する「リングネット落石防護柵」、流下土砂を捕捉する「インパクトバリア」などの防災技術と併せて、上下水道分野で採用実績を大きく伸ばしている「アイスピグ管内洗浄工法」を紹介。地盤改良・斜面防災に続く同社第3の柱として、管路事業の広報普及に今後も力を入れていくという。

水管橋目視にドローン活用 エイテック

球体ガードドローン

 エイテック(本社=東京・渋谷区)は、360度カメラを搭載したガードドローンによる橋梁向けの点検技術を紹介。水管橋の目視点検への活用を提案した。

 同社は空間情報技術に強みを持つコンサルタントで、iーConstructionの一環としてドローンに注目。市販のドローンと360度カメラ、それらを防護する球体ガードなど、比較的安価な機材を組み合わせた橋梁の検査方法・システムを開発し、手法に関する特許も取得した。

 球体ガードを搭載したドローンは、衝突時にも最大直径75cmのガードが衝撃を吸収するため、橋梁に沿った近接飛行が可能。全球360度カメラで動画を撮影することで、後から対象箇所を任意の角度で見直せる。対象まで約1.0mの撮影距離で飛行を維持した場合、0.2mmのクラックを判読できるという。

 同社によれば、交通誘導員・点検作業者の確保などを考慮すると、橋梁点検車を使用した点検と比べて現場作業にかかる費用は半分ほど。加えて道路使用に伴う警察協議が不要になる。


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