新体制で中期計画推進 水コン協・定時社員総会 マイクリップに追加
全国上下水道コンサルタント協会は6月9日に第41回定時社員総会を開き、昨年度の事業・決算と今年度の事業計画・予算に関する報告の後、任期満了に伴う役員改選などを決議した。今年度は、5月に策定した「水コン協ビジョン(2015ー2025)第三期中期行動計画」のもとで諸活動に取り組んでいく。
昨年度の協会活動は前年に続きコロナ禍による大きな制約を受けた。その結果、理事会や各種委員会などの会議ではウェブ利用がさらに拡大した。本部・支部意見交換会は2年ぶりに全国7支部で実施でき、正副会長らによる国や関係団体との意見交換も行った。
災害関係では、昨年度中に14団体と災害時支援協定を締結し、締結団体数は合計で63となった。この中には都道府県による一括協定が含まれ、市町村・一部事務組合などを分けて計上した場合は合計384団体になる。
今年度は▽人材確保支援▽技術・品質・倫理向上支援▽多様な官民協働の促進▽協会活動の強化――の四つを事業の柱とする。人材確保支援では、昨年度に続き「働き方改革セミナー」を実施するほか、水道施設設計業務歩掛や下水道標準歩掛の一部について改定を検討、提案する。官民連携の促進では、事業運営支援業務について研究し、事例調査を踏まえた官民連携方法の選定・モニタリング方法の検討などを進めていく。
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役員改選では理事24名と監事2名を選任した。新任は理事の光井謙二氏(巽設計コンサルタント代表取締役)と波田敦氏(環境新聞社代表取締役社長)、監事の高橋浩二氏(東洋コンサルタント代表取締役社長)。
総会終了後には理事会で正副会長の選任が行われ、会長が村上雅亮氏(NJS代表取締役社長)から間山一典氏(日水コン代表取締役社長)に交代することとなった。村上氏は菅伸彦氏(オリジナル設計代表取締役社長)、本名元氏(日本水道設計代表取締役社長)、片石謹也氏(東京設計事務所代表取締役副社長)とともに副会長に就いた。
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総会冒頭であいさつした村上会長は、閣議決定された2022年度の骨太の方針から「われわれはこれまでの延長線にはない世界に生きている」という書き出しの部分を取り上げ、「新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ侵攻、気候変動の拡大・深刻化が世界の安全を揺るがしていくという危機感があるのではないか」と指摘。社会の変容が求められる中、上下水道事業は「サステナビリティという全体の流れの中で山積する課題に対応しなければならない」とし、社会課題と事業課題に一体的に取り組む上で「官民の協調・連携、あらゆるセクターの方々が一緒になって取り組んでいく体系」の構築が必要だと述べた。
また、総会に併せた表彰式の開催は見送られたが、令和4年度協会表彰の受賞者が公表された。各賞の受賞者は次の通り。【会員表彰】《入会後30年経過会員》タイヨー設計(九州支部)▽ダイワコンサルタント(同)
【功労賞】宮本仁一(東洋コンサルタント、前北海道支部役員)▽山崎義広(三水コンサルタント、前関東支部役員)
【有効賞】「『企画調整』領域を含むPPPスキームの研究と実践ー須崎市コンセッション事業における取り組み」岡田一也(NJS)▽「時系列水温データの成分分解による下水量解析」中根進(中日本建設コンサルタント)
間山新会長のあいさつ
抱負として、やるべきことが三つあると考えている。まず、中期行動計画を着実に実行していくこと。2015年に作成したビジョンは「水コンサルタントが上下水道の維持・持続に主体的に関わっていく、業務領域を広げて貢献していく」という決意を表したものだと理解している。仕上げとなる第三期中期行動計画では、ビジョンの目標を着実に達成し、それを次のビジョンにつなげていく。官民連携・広域化はこれからますます加速し、加えてDX、脱炭素化・カーボンニュートラルといった新しい課題も出てきた。こうした社会的な課題に積極的に取り組み、解決策を見出すことが会員各社や業界の成長につながると考えている。
2点目は人材確保。言うまでもなく人材はコンサルタントにとって最大の経営資産であり生命線だが、これからは担い手不足を前提に、魅力ある職業、働きやすい職場というものを今まで以上に考えていかなければならない。改正品確法に基づくウイークリースタンス等の要望活動の実効性を高めるとともに、DXについてもわれわれ自身の生産性向上、あるいは多様な働き方を実現するためのツールとして自分のものにした上で、必要なことを要望・提案していくべきだろう。何より長時間労働という負のイメージを払拭して、公益性のある魅力的な職業、多様な働き方ができる職場だと広く発信し、知ってもらうことが必要かなと思っている。
3点目が本部と支部の関係性だ。ウェブ会議やテレワークが当たり前の働き方として定着した今、移動距離や時間の考え方を改め、本部と支部もこれまでと違う役割分担ができるかもしれない。「地域の水インフラを守るのは地域」という考え方に立てば、各支部の会員が元気でなければいけないし、地域で雇用を生まなければならない。災害時支援協定の件数も増えてきて、まず駆けつけるのは地域の会員だが、それを広域的にサポートする本部の機能が必要かもしれないと考えている。