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2022年95日 (月) 版

水道行政移管へ 国交省、整備・管理全般 環境省、水質基準策定等 マイクリップに追加

6年4月予定

 厚生労働省水道課の業務を国土交通省と環境省に移管する方針が決まった。厚労省の感染症対応能力強化に向けた組織見直しの一環として、2日午前の政府「新型コロナウイルス感染症対策本部」で方針がまとまった。水道整備・管理行政は国土交通省が一元的に所管することとされ、水管理・国土保全局において下水道行政と一体で運営する方向で検討が進むとみられる。水道水質基準の策定等は環境省が所管。移管先は水・大気環境局が有力視される。令和6年4月の移管を目指し、来年1月招集の次期通常国会に関連法案が提出される見込み。

厚労省組織見直し

 2日午前に開かれた政府「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長=岸田文雄首相)の第97回会合では、6月17日の第93回会合で決まった「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性」に基づく「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を決定。大きな柱として▽次の感染症危機に備えた感染症法等の改正▽新型インフルエンザ等対策特別措置法の効果的な実施▽次の感染症危機に対応する政府の司令塔機能強化▽感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直し――の4点を掲げた。会合のまとめに当たり岸田首相は「必要な法律案の準備を進めるなど取組みを加速していただくようお願いする」と述べた。

 具体策では、厚労省の組織見直しの一つとして、水道整備・管理行政を国土交通省、水質基準策定等を環境省へ移管することを明記。施設整備や下水道運営等の知見を有する国交省が一元的に所管することでパフォーマンス向上を図るとともに、環境省が専門的な能力・知見に基づき水質基準の策定を担い、水質・衛生に関する一部の業務について国交省の協議に応じることで水道の安全・安心をより高めるという。

 移管先について、本紙取材によれば、多くの地方公共団体が水道事業・下水道事業を同一部署で所管している状況などを踏まえ、国交省では水管理・国土保全局の下水道行政と一体で運営する方針で調整が進むとみられる。環境省では水質汚濁に係る環境基準を所管していることなどから、水・大気環境局が有力視される。

 本紙取材による国交・環境両省の業務分担イメージ(表)は次の通り。

 【国交省】水道事業・水道用水供給事業の認可、指導・監督▽水道事業者等が実施する水質検査▽施設基準の策定▽基盤強化計画、広域的連携等推進協議会▽国庫補助▽専用水道・飲用井戸▽給水装置の基準策定・検査、指定給水装置工事事業者――に関すること

 【環境省】水質基準の策定▽水質検査内容の策定――に関すること

 また、両省に関連する一部の業務については、協議など必要に応じた連携が図られるほか、水質検査機関や指定試験機関の登録制度に関する業務についても、各制度の内容に応じ、各省で対応がなされるとみられる。

 なお、業務分担イメージは今後の検討過程で変更される可能性がある。

 国交・環境両省での業務開始は令和6年4月を予定する。今後は移管元の厚労省を含む3省が連携し、水道法や各省の設置法といった関連法の改正等の検討を進め、法案を来年1月召集予定の通常国会に提出する。

新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策

 〈略〉

 4.感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直し

 〈略〉

 (3)生活衛生関係組織の一部業務の移管

 〈前略〉厚生労働省から、食品衛生基準行政及び水道整備・管理行政をそれぞれ以下のとおり移管する。

 〈略〉

 ②水道整備・管理行政の国土交通省及び環境省への移管

 水道整備・管理行政における現下の課題である、水道事業の経営基盤強化、老朽化や耐震化への対応、災害発生時における早急な復旧支援、渇水への対応等に対し、国土交通省が、施設整備や下水道運営、災害対応に関する能力・知見や、層の厚い地方組織を活用し、水道整備・管理行政を一元的に担当することで、そのパフォーマンスの一層の向上を図る。

 さらに、環境省が、安全・安心に関する専門的な能力・知見に基づき、水質基準の策定を担うほか、水質・衛生にかかわる一部の業務について、国土交通省の協議に応じるなど、必要な協力を行うことで、国民の水道に対する安全・安心をより高める。

 (4)上記(1)~(3)については、次期通常国会に必要な法律案を提出し、(1)(3)については令和6年度の施行〈中略〉を目指す〈中略〉。


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