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2023年619日 (月) 版

健全な水循環 後世に 日本水大賞、北九州市らに表彰状 マイクリップに追加

12日の表彰式

秋篠宮さまがご出席

 第25回日本水大賞・2023日本ストックホルム青少年水大賞の表彰式が13日、東京・江東区の日本科学未来館で開かれ、日本水大賞委員会の名誉総裁を務める秋篠宮皇嗣殿下がご出席される中、各賞の受賞者に表彰状が手渡された。

 応募総数は96件。大賞は北九州市上下水道局の「世界に広がる北九州市の水に関する技術」に贈られた。このほか水道関係では、富良野高校・富川高校・北海道立総合研究機構・白石航希氏による「地域の水は自分たちで守る 地域ぐるみの水道維持管理支援」が厚生労働大臣賞を、東亜グラウト工業による「水インフラを支え、水災害に対処する技術と担い手を盛り上げる記念日活動」が経済産業大臣賞を受賞した。なお、国際貢献賞にはNPO法人地球の友と歩む会/LIFEの「インドネシアの農村地域における村民主導型給水事業スキームを通じた給水人口率の改善」が選ばれた。

 表彰式で秋篠宮皇嗣殿下は、「水」はかけがえのない恵みを与える一方で、自然災害をもたらすものであることを忘れてはならないこと、日本水大賞が四半世紀を迎える中、水防災に係わる応募が増えてきていることを述べられた。

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  • 秋篠宮さま
  • 秋篠宮さまが北九州市にお声掛け

 大賞の北九州市上下水道局の活動については、「北九州市は、公害や渇水、浸水などの問題を乗り越えてきた経験をもとに、上下水道の分野で国際技術協力を進め、カンボジアの水道普及や、ベトナムの浄水場へ北九州市独自のろ過技術を導入するなど、世界各国と幅広い交流を続けています」と述べられた。

 また「私たちは、水から受ける恩恵に感謝し、安全で安心することができ、かつ健全な水循環系を礎とした国土と自然を、後世に引き継いでいかなければなりません。本賞が、そのひとつの契機となり、多くの人々がそれぞれの地域で水を守り、水について考える活動を実践していかれることを願っております」と述べられた。

 大島一博厚生労働事務次官は富良野高校らの取組みについて、北海道に多くみられる地元管理型の小規模水道において、地元高校生をはじめとする地域のさまざまな関係者を巻き込む形で水道管理情報のデジタル化や定期的な水質検査といった水インフラの維持管理に取り組むことに成功し、高校生の自信や地元住民の誇りにつながっていることを高く評価した。

 また中谷真一経済産業副大臣は、東亜グラウト工業の取組みについて、同社が水インフラの整備を通じて健全な水循環の実現に貢献し、水循環の大切さを広く社会に理解してもらう活動をしてきたことに触れ、「こうした企業活動が水循環の健全化に大きく貢献すると高く評価」され受賞につながったとした。

 表彰状授与後、北九州市上下水道局の一田大作広域・海外事業部長、笹田和宏同部海外事業課海外事業担当係長が秋篠宮皇嗣殿下や各省幹部ほか参列者の前で受賞活動について発表した。同市は深刻な公害問題を市民・企業・行政一体で克服した経験を生かし、国際技術協力を長年にわたり継続。その中で給水状況を劇的に改善した「プノンペンの奇跡」や、同局が国内特許を有する高度浄水処理(U-BCF)をベトナム・ハイフォン市の浄水場に導入したこと、またODA事業によるプノンペンでの下水処理場の建設や環境教育など水環境改善に取り組んでいることなど成果を紹介した。表彰式後には、秋篠宮皇嗣殿下が微生物を用いた処理方法の特長などに関心をお持ちになり、お話をきかれるご様子が見られた。

 その後の活動発表会では、各賞受賞者が順に取組み内容を概説するとともに、浅枝隆日本水大賞審査部会長や日本水大賞委員会らが講評。協賛企業代表として日本工営の新屋浩明代表取締役社長があいさつし閉幕した。

 なお、令和6年度には水道行政が厚生労働省から国土交通省・環境省へ移管されるため、厚生労働大臣賞の表彰は今回をもって終了となる。

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