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管診協、水道に領域拡大 委員会を設置、管路点検の歩掛検討 マイクリップに追加

2023/11/02 産業 業界団体
総会で事業計画を承認

 下水道管路構造物に関する診断・補修・更生工法の情報収集・技術評価に取り組んできた管路診断コンサルタント協会(管診協)は、水道管路分野への事業領域拡大を目指す考えを明らかにした。10月27日に都内で開かれた社員総会で事業計画を承認し、その中で「水道委員会」の発足を決定したもの。来年4月の水道行政移管を踏まえて協会活動の対象範囲を広げ、水道管路の点検調査について、情報収集や歩掛作成などに取り組んでいくという。

来春の行政移管にらむ

山﨑会長

 管診協は約80社のコンサルタント企業を正会員として構成されている。発足は平成10年で、21年には一般社団法人化を果たした。会長は三水コンサルタント社長の山﨑義広氏。NJSの村上雅亮社長、コーセツコンサルタントの角田五郎会長、冨洋設計の武部茂会長、ニックスジャパンの市森友明社長、日本水工設計の菅原一孝取締役が副会長を務めている。

 協会活動の目的は管路構造物の耐久性を評価する調査・診断、それに基づく改築・修繕工法、その材料などの評価や研究開発を通じて診断技術に係る総合システムの構築を図ること。成果として公的な指針類を補完する技術マニュアルや積算資料を作成してきた。

 10月27日の第15回(通算第27回)社員総会では事業報告・決算など6議案を審議・承認し、事業計画の中で水道委員会を発足させること、委員長を武部副会長が兼任することを明らかにした。従来は下水道管路に関する事業を柱としてきたが、来年度からの国土交通省による上下水道一体所掌を見据え、活動の場を水道分野に拡大する方針。

 水道委員会の活動内容としては▽水道管路の診断業務に係る点検調査手法などの情報収集▽関係団体との技術交流会の実施▽点検調査に関する歩掛の作成――などを挙げた。具体的な取組みは既存の技術・企画委員会と連携して進めていく。

 総会冒頭、あいさつした山﨑会長はウォーターPPPに言及し、「管診協の活躍の場が増えてくる。協会を挙げて活動していく」と意気込みを述べた。また、日本下水道新技術機構との共同研究への参画や管口・マンホール調査カメラ「管診鏡」の販売普及活動など昨年の事業を総括した。

 ◇   ◇

田村議員

 総会後の懇親会には、自民党水道事業促進議員連盟と下水道事業促進議員連盟の両方で会長を務める田村憲久衆議院議員、同じく幹事長を務める盛山正仁衆議院議員、国交省下水道部の石井宏幸下水道事業課長らが出席した。田村議員は「下水道の普及と機能維持が先進国の条件。それを少子化が進む中で維持できるかは皆さまの肩にかかっている」と管診協の役割の重要性を強調。「水道と下水道が一本化されるが、水道議連の会長も務めているので、いろいろな形でお付き合いが深まれば」と期待を述べた。

 盛山議員は水道行政移管について「どのような組織にするか議論している」などと現状を説明。「公共事業の維持・施設更新は上下水道に限らない共通課題」との認識を示しつつ、「皆さまの声を聞きながら、国民の皆さまに喜んでいただけるような上下水道サービスをきちんと提供し続けられるよう、全力で頑張りたい」と意気込んだ。

 石井課長は、編成作業が進められている来年度の政府予算について「キーワードには国土強靱化やウォーターPPP、肥料化、広域化、合流改善、半導体などに加え、行政移管を見据えた上下水道一体での取組みの推進が挙げられる。国交省に期待されているのは上下水道一体での老朽化対策の推進ではないかと思う」との考えを述べ、「皆さまのお力、お知恵をお借りする場面も出てくる」と協力を求めた。


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