上下一体意識し 水道の知見補完へ JS、OWGSと連携協定 マイクリップに追加
日本下水道事業団(JS)は1月30日、大阪水道総合サービス(OWGS)と連携協定を締結した。上下水道事業に関する技術情報の相互共有、上下水道事業に関わる人材育成、技術力向上に向けた研修の実施などを連携協力して実施し、地方公共団体における上下水道事業の一体的な取組みへの支援力を強化する。
JSとしては官民連携事業はじめ上下水道一体案件への関与が指向される中、OWGSが有する水道分野のノウハウ・知見の補完・吸収を図りたい考えだ。過去にも名古屋上下水道総合サービスと連携合意書を結んでいるほか、クリアウォーターOSAKAとも業務連携に関する合意書を結んでいるが、水道事業に特化した団体との締結は初だという。
同日に都内のJS本社で開かれた協定締結式で、JSの黒田憲司理事長は、行政経験者を多数職員として抱え、官側の立場に立った水道マネジメント業務に精通するOWGSが保有するノウハウへの期待感を述べつつ、JSが上下水道一体の事業体支援体制を構築することの意義にも言及。「(一例として)半導体分野においても前・後それぞれの製造工程での刷新・発展が限界を迎える中で、一層の高性能化という社会ニーズに応えるために製造工程の見直しなど一体的に考える仕事が進められている。まったく違う工程・技術を一体化、組み合わせるために、両方を知る人材を作ろうという議論がされている。水道・下水道についても目的も技術も財源も投資の考え方も違うシステムが一体化を目指していく上では、半導体分野と同じく両方を知る人材を育てることが大事。ぜひOWGSの知見を吸収させていただきたい」と語った。
OWGSの松本広司社長は、「下水道、水道が直面する課題はかなり似ており、特に人口減少に伴う料金・使用料減はどちらも共通の課題。重要施策としても老朽化・耐震化と類似している。両社が保有するノウハウを相互に生かすことで課題解決の道につながるのでは。国の施策動向も上下水道一体、官民連携に向かうなど流れに即している」と言及。行政・民間双方の立場を熟知する外郭団体組織の知見を惜しみなくJSに提供することや、早い段階での連携効果の発現に向け注力していく考えを述べた。
OWGSは、大阪市水道局の100%出資により1969年に設立された株式会社。水源から蛇口に至る水道事業に関する総合的な技術・ノウハウを有し、水道施設の運転管理・維持管理や施工監理、給水装置工事設計審査・竣工検査、水道技術研修、さらには水道事業アドバイザリー等の事業を手がけている。