技術講習でアイスピグ 兵庫県、活性炭注入配管で初使用 マイクリップに追加
兵庫県企業庁はこのほど、「アイスピグ管内洗浄工法」の現場見学会を神出浄水場で開催した。水道技術講習会での技術紹介の一例として職員24人が参加する中、アイスピグ近畿地域協会(藤野正勝会長)が講演と現場見学を行った。
今回、特殊アイスシャーベットによる内面洗浄に活性炭注入配管で初めて挑戦し、管内の付着物や堆積物を除去して閉塞改善に貢献できるとPRした。
神出浄水場は、6団体(神戸市、明石市、三木市、稲美町、播磨町、淡路広域水道企業団)に対して10万1900㎥/日の水道用水を供給している。施設内のドライ活性炭棟で、水道水の異臭味対策等に使用している粉末活性炭を溶解して注入配管で活性炭接触池まで搬送している。この注入配管の管壁に活性炭が蓄積することで閉塞が発生し、注入流量低下などのトラブルに見舞われていた。
講演では、東亜グラウト工業の豊嶋達也氏が「アイスピグ管内洗浄工法」と題して工法概要を説明。圧送管を洗浄する他工法と比較した時の特長や適用条件、洗浄実績を中心に、φ50~500mmまでの圧送管を対象に水流と水圧を活用することで汚れを短時間で排出できると紹介した。
現場見学では、注入前のアイスピグや排出されたアイススラリーに触れる体験や注入工程から排出工程までの流れを視察した。製造元から車載ユニットで攪拌しながら運び出した特殊アイスシャーベットを使い、ドライ活性炭棟と活性炭接触池を結ぶ配管(φ65mm、約270m)で洗浄を実施。洗浄後の管内カメラ調査の結果から、活性炭注入配管内に確認された付着物はおおむね除去されて流路の拡張が確認できたほか、これまで排出実績がある玉石や砂利、砂よりもさらに粒子が細かい活性炭が洗浄できた初事例となった。
同協会では、事前保全の観点で定期的に洗浄することで、夾雑物等の内面固着を予防しながら管路に付随する設備機器の健全な運用や延命化にも寄与できるとの見解を示している。担当者は「活性炭の詰まりによる流量低下を解決するに当たり、アイスピグによる洗浄作業は終了したが、その洗浄効果を確認しなければならない。このような状況下で活用できる技術ということになれば、非常に有効な使い方になると思う。全国展開を視野に入れながら、安心・安全な水道水の供給に向けた課題解決に貢献ができれば」とさらなる発展に向けた意気込みを語る。