横展開で脱炭素波及 国交省・モデル事業、7年度成果まとめる マイクリップに追加
国土交通省上下水道企画課は、令和7年度「水道事業における温室効果ガス削減推進モデル事業」の実施事例をHPで公表した。水道分野における脱炭素化の推進に向け、公募によって地方公共団体からモデル事業を選定。モデル事業における「施設全体のエネルギー使用量分析」「省エネ・再エネ施策の検討」を支援し、その成果を取りまとめた。脱炭素対策の検討が進まない水道事業者等が多い中、先進的な事例として他事業体に成果の横展開を行い、脱炭素化の推進と持続性の向上に寄与したい考え。
水道事業の脱炭素化をめぐっては、温室効果ガスを2030年度までに21.6万t-CO2(2013年度比約5%)削減する目標が掲げられている。こうした中、2021年度の実績は約1.1%増であり、達成が危ぶまれている。
政府の地球温暖化対策計画では、水道事業における省エネルギー設備や再生可能エネルギー発電設備などの導入を掲げている。国交省では、目標達成に向けた対策や取組みを横展開で促進するため、事業化スケジュール検討を支援する「水道事業における温室効果ガス削減推進モデル事業」を実施している。
この事業は、公募があった地方公共団体からモデル事業体を選定し▽事業全体のエネルギー使用量分析▽省エネ・再エネ施策の検討・効果の定量的評価▽導入スキームと事業化スケジュールの検討▽モデル事業の横展開に向けた提案――を支援するもの。先進的な事例として成果を他事業体に横展開することで、水道分野における脱炭素化の推進と持続性の向上に資することを目的としている。
令和7年度のモデル事業には▽沼田市(水道事業)▽由利本荘市(同)▽松江市(同)▽横浜市(同)▽静岡県(用水供給事業)――の事例が選ばれた。
沼田市の事例は「浄水場の上流移転による省エネ化とともに再エネ導入」を検討したもの。老朽化などの課題解消を目的とする沼田浄水場改築更新事業において上流移転を検討しているため、省エネ効果や再生可能エネルギー(太陽光発電設備、小水力発電設備)の導入によるCO2排出量削減効果を分析した。削減効果の大きさと費用対効果が得られることを確認した。
由利本荘市の事例は「位置エネルギーを活用した脱炭素化」を検討したもの。水道施設の電力使用量が市有施設全体の約14%を占めるため、山間地域を含めて多い小規模な水道施設で高低差を生かした小水力発電を導入した際の効果を分析した。各施設の効果は小さいものの、一定のCO2排出量削減が見込まれることを確認した。
松江市の事例は「電力自給率の向上、CO2削減、運営費の削減」を検討したもの。小規模な水道施設が市内各地に分散配置されているため、個々の施設における再エネ導入や省エネ対策による削減効果は限定的とした一方、複数施設への展開で一定のCO2排出量削減効果が見込まれることを確認した。
横浜市の事例は「大規模再生可能エネルギー、各種対策の導入」を検討したもの。自然流下系施設の優先的整備などに合わせ導入を進めているVVVF制御方式の機器は、施設規模が大きく、高い再エネ導入ポテンシャルを有すとされる。ポンプ設備のVVVF化の効果や再生可能エネルギーの導入を検討し、脱炭素化に向けた追加の取組みとして提案した。
静岡県の事例は「水道用水供給事業の統廃合と省エネ・再エネ導入」を検討したもの。最も電力使用量が多い遠州広域水道用水供給事業に省エネと再エネの導入を提案。また静岡県大井川広域水道企業団との施設統合によって榛南水道用水供給事業を廃止する際の省エネ効果などを分析した。...(残り-98文字)