日本水道新聞 電子版

2022年113日 (木) 版 PDF版で読む 別の日付を表示
2022年113日 (木) 版

記者手帳 サプライチェーンの寸断 マイクリップに追加

 ○…JWWA K139に関わる塗料製品の不正問題は、水道業界に大きな衝撃を与えている。端的に言えば、水道管路工事のサプライチェーンが寸断された。事実が明らかになった11日から全国の水道関係者が事実確認と情報収集に追われる。該当製品の出荷は停止され、メーカーなどからの説明を受け、影響が明らかになるまで管路工事をすべて止めた事業体も多い。事業体間で連絡を取り合いながら、工事停止の動きは全国に波及している。管路工事が繁忙期を迎える年度末が迫る中で、工事再開が不透明な状況は施工業者にとって死活問題だ。既設の管路に当該製品が使われている可能性も指摘され、事業体では、事故など緊急を要する事象にも対応しつつ、利用者に水を届ける状況が続いている。目の前の緊急課題に追われながらも、とにかく今は水道利用者に影響が及ばないことを願うほかない。

 ○…近年の官民連携の議論の中でモニタリングが注目を集めた。施設の管理や事業運営の民間企業への委託が進む中で、セルフモニタリング、委託者によるモニタリング、第三者によるモニタリングの必要性が指摘される。日本の水道史をたどれば、モニタリングの原点は、民間が製造する資機材の確認のあり方に求めることができよう。日本の水道界の信頼そのものが安全な資機材の安定供給のもとに構築されている。不正の原因究明と再発防止が一刻も早く求められるが、一部の綻びがサプライチェーンを途絶させてしまう現実が浮き彫りとなった危機意識と倫理観、水道界のサプライチェーン全体に目を向けるモニタリングへの意識が一層問われる。


総合の過去記事一覧

×
ようこそ、ゲストさん。
新規会員登録 ログイン 日本水道新聞 電子版について