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東三河から県・日本へ 愛知県 豊橋浄水場再整備事業、「次世代型」への提案評価 マイクリップに追加

 豊橋浄水場再整備等事業は、老朽化や耐震性不足が課題となっていた豊橋浄水場の全面的な再整備を図るとして、既存浄水場の運用を継続したまま、現敷地内で、段階的な施設の撤去・設計・建設を行っていくもの。

 三つのコンセプト(①施設の老朽化・耐震性不足への対応、新たな施設への改築②浄水場施設におけるカーボンニュートラルの実現③豊橋市〈隣接する小鷹野浄水場〉との連携の推進)を掲げ、〝次世代型の新しい浄水場〟を構築する。事業の対象施設には、再整備後の豊橋浄水場に加え、県の豊橋南部浄水場、取水施設、導水管路等の豊橋浄水場に関係する施設を含む。

 事業方式は「BT+コンセッション方式」。事業者が自らの提案を基に豊橋浄水場を再整備したのち、県に所有権を移す。再整備後には、県が豊橋浄水場と、そのほか関係施設に対する運営権を設定。事業者は対象施設の一体的な運営・維持管理等を実施する。

 落札したあいちウォーターイノベーションは、事業の実施体制・統括運営に関して、今後の愛知県の水道事業のあり方を示す次世代型水道戦略「AICHIモデル」(Aqua-infra・Innovation・Crisis management・Hybrid Energy・Integration)を提案。多様な専門性を有する10社が構成企業として出資することで、幅広い事業範囲をカバーするとした。また維持管理を担う地域水道事業会社(新OM会社)の設立も挙げ、無期限の会社として東三河地域の市町村からの受託業務を担い、地域に根差す技術者を育成するといった地域貢献も配慮している。

 そのほか提案の要点は▽4階層で行う複層的セルフモニタリング体制により事業の質を確保▽省スペース化を実現できる浄水処理方式を採用することで、施設の一括施工を可能とし、再整備期間を短縮、安全施工を実現▽浄水処理の自動制御などにより、水質の安定化、管理の効率化を実現▽点検・故障トラブル対応を支援するドローン、自走式ロボット、ウェアラブル端末の活用▽豊橋市と連携した管理による効率化・高度化を推進▽省エネ機器の導入、太陽光発電、小水力発電の導入などで電力使用量の約35%を削減▽豊橋浄水場の動力の一部として水素技術を活用。事業の取組みを広くアピールし、水素社会実装を推進▽任意事業として、豊橋浄水場以外の施設(豊橋南部浄水場等)での太陽光発電事業を実施――など。

 豊橋浄水場再整備等事業PFI事業者選定委員会は提案を、「本事業のコンセプトを網羅したものであり、新たな施設の構築、カーボンニュートラル等のさまざまな課題がある中、ポイントを押さえた方針が示されていることで事業への理解が伺え、非常に期待感が持てるだけでなく、本事業を遂行する能力を有していることが見て取れた」と評価。県との十分な協議・調整が必要とした上で、「本施設が次世代型の新しい浄水場として構築されるとともに、本事業が東三河地域市町村の水道事業の発展させる事業モデルとなり、さらには当該事業モデルを県全体・日本全体へ拡げていくことを、大いに期待する」とした。


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