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車載レーダーで埋設物探査 金沢市、交通規制が不要で時間・費用も低減 マイクリップに追加

  • 左から金沢市企業局水道整備課の高平勲基幹管路係長、黒澤克俊課長、飛田紘佑技師
  • 車載型地中レーダー探査の実施状況
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  • 左から金沢市企業局水道整備課の高平勲基幹管路係長、黒澤克俊課長、飛田紘佑技師
  • 車載型地中レーダー探査の実施状況

 金沢市企業局は、昨年度の地下埋設物探査業務において、車載型地中レーダー探査を初めて採用した。

 入札を経て採用されたのは、ジオ・サーチの埋設物マッピングシステム(地上・地下インフラ3Dマップ)。同システムは、高解像度センサー搭載車「スケルカーⓇ」等の多配列レーダーシステムによる地下埋設物の探査を広範囲に行うもの。

 多配列レーダーシステムは、従来の点状探査と異なり面的計測が可能で、従来のレーダー探査と異なり、交通規制が必要なく、調査期間やコストの低減が可能。同社の専用解析ソフトにより取得した複数のデータを結合して3次元解析を行い、台帳等のデータと合わせて埋設物を特定する。3Dレーザー測量による地上点群データと重ねて「地上・地下インフラ3Dマップ」として、地下の埋設物の3Dモデリングマップのアウトプットも可能。

 同局では、従来は手押し型のシングルアンテナで地下埋設物探査を行ったことがあったが、車道部では交通規制が必要となる上、情報量が少ないため、埋設物の特定がなかなか困難であった。同市の市街地は特に中心部の交通量が多く、かつ地下埋設物が多く輻輳している状況にあり、手押し型レーダーや試掘工事の採用が難しい箇所が多かった。

 そこで同局は昨年度、車載型地中レーダー探査を仕様に加え、地下埋設物の調査業務委託の入札を実施。その結果、同社の技術が採用された。現場での作業の結果、数カ所の探査が一晩で終了し作業性に優れること、手押し型レーダー探査よりもコスト面で優れること、探査精度に問題がないこと等を確認した。

 追加で地下埋設物解析を発注する必要が生じた場合、従来であれば再度交通規制を行って探査する必要があるが、車載型地中レーダー探査であれば、探査車が以前通過した箇所であれば探査データが残されているため、そのデータを活用した解析が可能なため、コストも抑えられて助かっているという。

 埋設管だけでなく、従来では分かりづらかった水路の擁壁のエッジなども判別できることも評価している。

 埋設管の直下に別の埋設管が埋設されている場合でも、多配列レーダーによる面的計測を生かし、一定距離を走行して下側の埋設管の変化点(曲部や分岐等)を解析することで、特定することが可能。

 専用ソフトによる解析後は、台帳等のデータも取り入れて埋設管の線形に管種・管径等の情報を付与し、CAD地形図に重ねた平面図と縦断面図を作成する。

 同市では、埋設管の輻輳箇所が多く、管路の更新に伴う新設箇所の選定に苦慮していたが、今回のシステムを活用して最適な地下空間を選定し、管路の更新・耐震化を進めていきたいと話す。

 試掘掘削工事の箇所も減らすことができるため、掘削に伴う事故リスクも低減できることもメリット。今後もレーダー探査と試掘調査のそれぞれを適材適所で採用していきたいと語る。


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